「うまくいっている?」は自発性を育てる魔法の言葉
尻を叩かないと動かない社員にどう対応するか
おはようございます。
お子さんがいる方なら誰でも、子どもに「早く宿題やりなさいよ」なんて叱った経験があると思います。
そういう時、子どもって何て言いますか?
「分かってるよ」とか「今からやろうと思っていたのに…」というのが典型的な反論ですよね。
子どもの頃、親にそんな事を言われた経験もあると思います。
実はね、僕は両親に言われたことがないんです。
言われる前にやったわけじゃないんですが、「しなさい」って言われたことがない。
その代わり、たまに「もうできたの?」とサラッと聞かれただけです。
そうすると「これからやるよ」となる。
今にして思うと、両親は自発性を育てる天才だったのだと思います。
命令をするのではなく、質問の形で課題を提起したのです。
よく、「尻を叩かないと社員は動かない」と嘆く社長がいます。
特に2代目3代目の後継社長は、軍曹のように強かった先代社長の指揮下で思考停止になっている社員に不満を感じることが多いと思います。
今日の記事は、命令をするのではなく課題が提起されることで人は自発的に動くという話です。
答えを出さなずに肯定的な課題提起を行う
自発性の研究は非常に進んでいて、いくつかの要件が整うと必ずそうなると僕は経験から考えています。
その中の重要な要件として、「自己決定」があります。
自らの意思で決めるということ。
当然と言えば当然のことですが、これが社内で出来ているかと問われれば結構怪しいものです。
そう、子どもを叱る時のように自ら決めるプロセスを飛ばして命令しちゃう。
もっと悪いのは手を出しちゃうこと。
あ、殴るという意味じゃないですよ(笑)代わりにやってあげちゃうという意味です。
それでは自発性が育たないのは当然です。
自発的にならないから命令をする→さらに自分で動かない
そんな悪循環が発生しているケースが多いように思います。
その悪循環から抜け出すのが僕の両親が行った「課題の提起」です。
命令もアドバイスもせずに、ただ課題だけをそこに置く。
あとは待つだけ。
指示ゼロ経営はソニーの元上級役員でCDの開発でプロジェクトXにもなった、天外伺朗さんの影響を大きく受けています。
天外さんから聞いた話ですが、社員の自律性が非常に高いことで有名な、ネッツトヨタ南国は、社員に組織が良くなるための無記名のアンケートを行いますが、その結果はただ貼り出しておくだけだそうです。
そう、課題が上がれば社員はそれを自分で解決する力を持っている事を信頼しているからです。
だから何も教えないし、してあげない。
これは非常に上級な話で、「社員から課題が上がることすらない」という会社もあります。
そういう場合は、最初はリーダーから課題を提起する必要があります。
ただし課題の置き方に工夫が必要です。
僕はそれを「肯定的な課題提起」と呼んでいます。
例えば、僕の両親は「もうできたの?」と投げかけました。
もしこれが「ちゃんとやったの?」だったら微妙に受け手が感じるニュアンスが違いますよね。
分かりますか?ニュアンスの違いが。
「もうできたの?」には否定の色が少ない。
課題というとマイナス要素の改善を思い浮かべやすいですが、どうすれば上手くいくか?が真の課題で、その中に改善点も含まれるという構図がヤル気を喚起します。
「このままじゃダメになる」と「こうすれば良くなる」ではヤル気に与える影響は大きく違います。
「うまくいっている?」と聞き、「まあまあ」と答えたら何も言いません。
沈黙、あるいは「ダメです」と答えたら対話をする。(という答えが返ってくる事を予想していますが…)
「ダメです」の発言も、自ら行った立派な前進への第一歩になる課題提起ですからね。
いきなり「ダメじゃないか!」と言われるのとは天と地ほどの差があります。
第一歩を自ら踏み出すか、いきなり指摘されるか。
「うまくいっている?」は自発性を育てる魔法の言葉だと思います。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!
また明日。