企業にミッションは必要なのか? ミッションはどのように創るのか?
「企業ミッション」という言葉は完全に一般化しましたよね。経営の勉強をされている方はみんな自社のミッションを明文化しています。
僕はミッションはあった方が良いと考えていますが、あるだけではなく機能しているかどうか?が重要だと思っています。
額に入れて眺めるものではないですよね。
ところが形骸化しているミッションも多いと感じています。
生きたミッションと形だけのミッションは何が違うのか?
本当にしっくり来るミッションとは?
今日はそんなことを考えたいと思います。
ミッションは「全体」の中での自社の役割を見出すもの
僕は「ミッションを持つ」という言い方にいつも違和感を感じています。
その理由は持とうと努力するものではなく、すでに「ある」と考えるからです。
この世に不要な存在などないからです。
すでにある、でもその存在意義に気付いていないだけだと思うのです。
だから「ミッションだと気付いた。分かった」という言い方がシックリとくるのです。
よく「ミッションは頭で考えても見つからない」と言いますが、こういうことなんだよね。
その上でミッションがある企業には2種類あります。
「最初からミッションを持っている会社」と「後からミッションをつくった会社」です。
ゼロから起業した会社の多くは立ち上げ時からミッションを持っていることが多いです。
思いがあるから起業したわけですので自然なことだと思います。
特に最近は成り上がりたいという動機よりも、社会貢献を動機の1つに持つ起業家が増えていると思います。
ミッションに関しては後から創る方が難しいです。
特に後継社長の場合は難しい。
だって「長男だから」というのが継いだ正直な理由だったりしますもんね。
ミッションの性質は頭で考えるものではなく感じるもの、大げさにいうと「ああ、天は自分にこういう役割を与えれくださったんだ」と感じるものだと思います。
シックリ来ないのは「全体」の中で自社の役割を観るという視点が持てないからだと思います。「自社に何ができるか?」と発想すると観えてこない。「何を期待されているのだろう?」と考えると観えてくる、そういうものだと思います。
例えば、僕は3代目ですが継いだ時にミッションはありませんした。
初代は今から90年前に創業しましたが、創業の正直な思いは「儲かると思ったから」です。
先代は成長期を担当しましたのでとても忙しくそんなことを考える暇はなかったと思います。
というか、そんなことを考えなくても良かったと思います。
創業者の米澤里治(右から2番目)
僕が継いだ瞬間に業界は成熟期を迎えました。
何をやっても成果が出ない。
そうなると「ウチはこの世に必要なのだろうか?」なんてことを考えるわけです。
そんな時に知ったミッションステートメントという考え方は心にグッと来ました。
全体が望むことを描き、自社が担う役割を感じ取る
ミッションは「全体」の中から自社の存在意義を観ることで浮き彫りになると思います。
全体とは、「社長」「社員」「社員の家族」「顧客」「地域」「国家」「世界」「天」のことだと僕は考えています。
浮き彫りにする方法は「望まれているか」という視点で考えると分かりやすいと思います。
社長が望んでいることがあります。例えば「儲かる」ということです。それは社長だけでなく社員も望みますし社員の家族も望みます。
ただしちゃんと賃金に反映されればの話ですが…
しかし顧客や地域はどうでしょうか?
「1人で儲けてないで顧客に還元しろ」と言われてしまいがちです。
では、ある学習樹塾のミッションはどうでしょうか?
「夢を持てないと思い込んでいる子供たちの心に、我々の想いで、情熱の火をつけよう」
カッコいいよね。
子どもにはこういう塾に通って欲しいと思ってしまいました。
さて、この社長の望みはどこまで共感されるでしょうか?
社員も望む。社員の家族も、顧客も、地域や国家も望むでしょう。子どもは世界の宝と言いますから世界もOK。
きっと天も望んでくれると思います。
ある人材紹介会社のミッションは「この会社に出会えて良かった!と心から感謝できるご縁をつなごう」というものです。
これもみんなが望むものだと思います。
全体が望むことを描き、その役割を自社が担っているという感覚、自社だからできる領域を探る視点が持てた時に真のミッションになると考えるのです。
人にも企業にも、万物には役割があると僕は信じています。
その役割を「感じる」…全体の中から感じることがミッションに気付く秘訣だと考えています。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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