社長、上司による個別指導が社員とチームの成長を阻害する

人が一番育つ時は「教えた時」です。
だから社員がよく育つ会社は、仲間同士で教え合う風土があると実感しています。
いつも社長ばかりが教えていると社長が賢くなるだけで社員は育ちません。
社長は気持ち良いけどね…

今日の記事は社員に先生になってもらい、チームの学習効果を高めようという話です。

教えることは学習効果を下げ、チームワークにも悪影響を及ぼす

アメリカ国立訓練研究所の研究によると、人は聞いたことの5%、読んだことの10%、見たことの30%しか学習できないそうです。
だから社長、上司が一方的に教えたことは忘れてしまうのです。
腹を立ててもしょうがない、人間がそのようにできているから。

これに対し、自分で言ったことは50%、自ら体験したことは75%を学習するそうです。
さらに、教えた時は90%を学びます。

経験ありますよね?
教えた時に再確認したり自分が理解できていないことが明らかになったりしますよね?
その時に、自分が理解していないことに対する学習意欲は凄いものがあります。

親子MG研修では子どもが大人に教える場面が頻発します

「大事なことだから一度しか言わないぞ」は間違いなのです。
大事なことは、相手に喋ってもらう、喋って理解したら誰かに教えることが正解です。

さらに社長・上司がマンツーマンで指導することは、チームづくりにおいて弊害も生じます。
こんな話があります。
学級崩壊は先生が一部の子どもに偏って関わることで起きるという話です。
学校の授業は1コマ45分ですから30人学級では1人あたりに関われる時間は1分少々になります。
しかし、できない子、問題を起こす子に時間が割かれますからほとんどの子は寂しい思いをします。
で、関わってもらうために問題を起こす子が出る。
「◯◯先生はえこひいきをする」と友達に愚痴り、それが広がるというのです。

これは、大なり小なり企業でも同じことが起きていると考えています。

1人1人が全体を観る風土をつくること

一斉指導や社長・上司による個別指導ではなく、社員同士が学び合うにはどうすれば良いのか?
「みんなが実現を望む、みんなのミッション」が必要だと考えてます。

多くの企業で全体目標を分解して各部署、各人に割り振る方法をとっていますよね?
個々人が目標を達成すると全体が良くなると信じられていると思います。
さらに、個々人がサボらないように、頑張るように個別評価をします。

そうなると社員は「自分の目標を達成すること」に注力します。
達成すると仕事が終わったと安心します。
達成できていない仲間を助けるのはオマケの仕事になります。
でも、それはとても損なのです。
会社を船に例えるなら、船の中で一番になっても船がボロくなると自分も損をするからです。

相棒、森本繁生さんのMG研修では全員ができないと次に進むことはありません。
「自分はできたから良いや」という人がいると全体の進行が遅れ、結局本人も損をします。

評価に関して言えば、「それなら仲間を助けたか?という評価項目を盛り込む」と考える方がいますが、助け合いの多くは、休憩中やLINEなどの非公式な場で行われるので全てを確認することは難しいと考えています。

朝、出社して「部長、昨日◯◯さんが落ち込んでいたので、飲みに誘い励ましました」と報告するなんて変でしょ?(笑)
まったく自律的な『学び合い』ではありません。

だから指示ゼロ経営では「全体に意識が向くことを阻害する要因」を排除します。
弊社ではその究極、「目標すら持たない」をとっています。
マイクロソフト社では個人評価をやめてチーム単位での評価に切り替えましたが、おそらく同じ意図があると推測しています。

さらに、学習効果が高まるだけでなく「知恵の創発」が起き、凄いアイデアが生まれる確立も高まります。
指示ゼロ経営を実践している多くの社長が「自分では思いつかないようなアイデアが生まれる」と口にします。
「課題解決が速くなった」と言います。
『学び合い』が進むと、「事後報告だけが来るようになった」という方もいます。

いつも社長、上司が個別指導をしていると個人もチームも育たない。
『学び合い』の環境を整えることが、今の時代、社長の最重要任務だと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!