「結果にこだわれ」は社員を疲弊させる。自発的で自然なヤル気はどうすれば生まれるのか?

すごく成果意識が高く「結果にこだわる」と言っている社長に限って、社員さんは結果にこだわりを「持たされている」ということが多いと思います。
言葉や態度で表明しないとボスに認めてもらえないからやる。
そもそも、こだわっている人はそれが当たり前だから、わざわざ口にしないよね?
実は、そんなにこだわっていないのにフリをするのって疲れるだろうなと思います。
短期的には良いかもしれないが長期的には苦しくなると思います。

今日は長期的に発揮される自然なモチベーションを持つには?という話です。

情報公開をせずに「こだわれ」は独裁者と同じ

社長だけが「こだわりを持てー!」と叫んでいる会社に限って決算書などの情報公開がなされていないことが多いと感じています。
「そんなものを見せなくても、自分の成績を上げることにこだわれよ」と思ってしまいますが、「その先」が見えないとヤル気を維持するのは難しいと思います。
自分の賃金に反映されるとかね。

賃金に反映させていても、個別評価で決めていたら難しいと思います。
自分の成果=賃金では、人は自分の領域しか見なくなります。
仕事は工程のつながりで成果が出るので、全体最適を考えないといけません。

例えば、ある会社では「材料を仕入れる」→「作る」→「包装する」→「販売する」という工程だったとします。
各部署の1日当たりの能力は「仕入れ=10」「製造=10」「包装=5」→「販売=10」だとすれば、この会社が1日あたりにお客様に届けられる数は「5」です。
一番弱い部分が成果を決めるわけ。
※これはたくらみ屋の相棒、森本繁生さんのTOC研修でよく分かります。
詳しくはこの記事を参考にしてね。
https://takuramiya.com/toc/2243/

個別の成績評価をすると、例えば製造がバカみたいに頑張り12も作ったりする。
機能不全に磨きがかかるだけだよね。
社員さんが全体の流れを見ている会社では、仕入れや製造が包装を助けに行きます。
包装以前の部署の仕事量が減っても問題ないし、全体としてはその方が良いことが分かっているから。

全体の流れから創られる最終成果はすべて決算書に表れます。
だからそれを見せずに「成果にこだわれ!」ってのは、すごく無理があると思うのです。
なので、全体成果から賃金が決まるように、決算書に基づく分配の仕組みが必須だと考えています。

自分たちの仕事にこだわれば自然と成果にもこだわりを持つ

長期的に健全なモチベーションを発揮するには、もう1つ大切な要件があると思います。
それは、「自分たちの仕事に対する誇り」です。

良い成果は良い価値のもとに付いてきます。
当たり前の話ですよね。
価値の有る無しを決めるのは常に顧客です。

価値は商品・サービスだけでなく、接客やデザインや様々な要件で決まります。
「価値を磨き、価値を伝えるべき人に伝える」…これが商売の本質だと考えています。

こう考えると、成果(お金)は自分たちが生み出した価値の物質的な証拠ということになります。
こだわるべきは価値創造だと思うのです。

「そんなに甘くない」と言う人もいますが、価値創造ほど厳しい世界はないと考えています。
同時に社員さんが一番、仕事の醍醐味を感じるところでもあります。
人間は人に喜ばれることを快と感じる社会的な生き物だからね。
つまり、うんと喜ばれる仕事こそ、こだわりを持ち、仕事に対する誇りを持つようになる。

もし、誇りを持って熱中した仕事で結果が出なかった場合、すごく悔しがると思います。
情熱を注いだ仕事は「自分そのもの」だから。
五輪の選手が言う「悔しい」はメダルの有無、色ではなく「ベストの自分が出せなかった」ということが多いですが、これと同じだと思います。

だから、情熱を持って熱中できる誇り高い仕事を考えることが、こだわりへの近道だと考えるのです。

社長・上司の評価ではなく顧客からの評価を気にすると社員のモチベーションは自然かつ長期的、そして自発的に発揮されるはずです。

「楽ではなくが愉しい」…そんな状態になった時に、社長が望む「こだわり」が生まれると考えています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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