思い通りに社員が動かない原因は、思い通りに動かそうとするから
指示命令を与えないと動かないチームが、言われなくとも自分たちで課題を設定し実践、成果を上げるようになるためには何が必要なのか?
僕は、基本的な前提をどこに置くか?が大切だと考えています。
「そもそも人は善良である」「人は社会的な生き物であるから、協働・共創が原理である」
その前提に基づき自律性が発動する環境を創ることだと。
それをせずに思い通りに動かそうとすると上手く行かないと考えています。
今日は、それを見事に実践している企業…じゃなくて小学4年生の学級が運営する「会社」の事例から要件を紐解きたいと思います。
クラス運営を子どもたちがやってのける学級にお邪魔しました
先日、夢新聞ワークショップでお邪魔した小学4年生の学級は、まさに指示ゼロ経営でした。
クラス運営を自分たちで行っているのです。
クラス内に「会社」が数社あります。
「4年1組ホールディングス」って感じです。
クラスを良くするために必要な要件ごとに会社があるという構図です。
発起人は社長で、それに賛同した子が社員になります。
なんと採用もあるんです。
賃金はありませんがね(笑)
僕がお邪魔した時、教室に入ると「心もピカピカ会社」の洗礼を受けました。
なんと、チョークが「アリガトウ」の文字に並べてあるのです。
ワークショップを始め、スクリーンにスライドを映すと、急に席を立つ子が出ました。
ある子は電気を消す、ある子はカーテンを閉めてくれました。
これは僕も初めての経験です。
そして、終わった後に校長室で担任の先生と話をしていると、突然ノックがして「失礼しま〜す」と子どもたちが入ってきました。
「???」と思っていたら、なんと僕への表彰状を渡しに来たのです。
これは「かってに表彰会社」の仕事です。
担任の先生もそれを知りませんでした。
って事は先生の許可が要らないことを意味します。
全て子どもたちが自分たちで考え行動したことなのです。
素晴らしいクラスですが、1年前、この担任が就くまではそうではなかったそうです。
それが1年足らずで指示ゼロになった。
何があったのか?
その要因を僕は「人の本質に立脚したチーム開発」だと考えています。
人間の理に適った組織づくりは無理なく成功する
「そもそも人は善良である」…これは間違いない事実だと思います。
そうでないとしたら社会は成り立ちませんからね。
担任はクラスに就いた最初から指示ゼロだったと言います。
ところが指示なしでは子どもたちは動きません。
だから、先生が良いクラスにするために必要なことを1人でやりました。
掃除、人の良い部分を観る、給食の時間管理、窓の開け閉めなどなど…
全部を1人でやるのは大変です。
大変なので子どもたちに「大変だ」と正直に伝えました。
すると、人はそもそも善良なので「私がやります」と名乗り出る人が出ました。
先生は、彼らに褒め言葉ではなく感謝の気持ちを伝えました。
すると、同じような行動を取る子が、1人2人と出始めたと言います。
ここでチームづくりが始まるのだと僕は解釈しました。
先生の姿を見て「私がやります」と名乗り出たように、名乗り出た友達の姿を見て「私もやります」と参画する人が手を上げ、そこから自然発生的にチームができるというわけ。
「人は社会性の生き物」
人類は個体として弱かったので、ご先祖様は協働で幾多の困難を乗り越えてきました。
集団の知恵を創り出すという戦略をとったわけです。
それはおそらく私たちの遺伝子に書き込まれている行動様式なのだと思います。
「チームは自然発生的に生まれる」が理に適っているのだと思います。
だからチームは管理者が独断でつくらない方が上手く行くのだと考えます。
人の集団が自発的に動くようになるとリーダー(先生)の役割も変わってきます。
問いを投げかけるのが役割になります。
僕はそれを「ケチをつける」と呼んでいますがね(笑)
自律的な集団になると自分たちで課題を設定するようになりますが、リーダーの視点から「これも課題だ」と思った時に、課題だけを投げかけます。
答えは出しません。
このクラスではこんな感じでした。
先生が課題設定を行うこともありますが、チームが成長すれば、その役割を子どもたちが務めるようになります。
企業であろうと学級であろうと、人の集団であることには変わりはありません。
取り組んでいる課題が違うだけです。
この先生のクラス運営は企業にも通ずる。
そんなことを実感した夢新聞ワークショップでした。
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい。
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