先代の社員に遠慮して仕事の話がしづらいという後継社長

2代目3代目の後継社長の悩みの1つに「先代が育てた社員に遠慮して仕事のお願いができない」というものがあります。
その気持ち、痛いほど分かるな、、、
僕が会社を継いだ時、社員の100%が先代が育てた人で、すごく気を遣ったことを今でも覚えています。
でも、実は社員の方も遠慮されて辛い思いをしていたのだ思います。

今日は、遠慮なく仕事の話ができるようになるための「最初の一歩」の踏み出し方について考えたいと思います。

失敗体験から学んだ後継社長の組織づくり

僕が古参社員に遠慮をしていた原因は「指示を出さなきゃいけない」と思っていたからです。
自分より経験を積み多くを知っている人に指示を出すのって、よほど図々しいか肚が座っていないとできないよね。
僕は、何かお願いしたいことがある時は、社員が忙しくない時を狙って「あの〜すみません…」って感じでお願いしていました。

下手に出てはいるが、実はいつか手下にしたいと思っていたのです。
その理由は、当時の僕は「社員は管理しないと仕事をサボる」と思っていたからです。
もう1つ理由があります。
当時の社員の仕事は100%作業でした。
アルバイトよりも多く作業をするという存在だったのです。
僕は直感的に、正社員がそんなことをしていたら会社の未来は創れないと感じていました。
その考えを理解させないといけないと思っていたのです。

24歳の若造にそんな事を言われたくないよね?(笑)

後で分かったことですが、自分と同世代で自分で採用した社員でさえ、自分の支配下に置いたら創造的な仕事はしてくれません。
当時の僕に必要な考え方は「パートナーシップ」だったのです。
「一緒に考える」ということだった。

それが出来ないでいるうちに古い社員は定年を迎え退職していきました。
正直に言うと、すごくホッとしました。
「これで自分の時代が来る」…そう思いました。

ところがそうではなかった。
自分で採用した社員でさえ支配下に置くのは困難で、サボらないように管理したり、自分の考えを押し付けるために一方的に長時間、社員の前で語っていました。

「人は自分の意志でのみ動く」ということが分かったのは、ずっと経ってから…自分で採用した社員が相次いで退職した時でした。

頼りにすれば良かったのです。
あ、別に後悔しているわけじゃないよ(笑)

支配するのではなくパートナーシップを組む

その経験があるから今があると思っていますが、世の中には早い段階で気付き、古参社員と上手くやっている人がいます。

僕と同じ時期に先代から継いだ友人は、見事にそれをやってのけました。
当時、彼は「僕は何も知らないし優秀じゃないから、社員に頼るしかない」と言っていて、僕は「何て情けないヤツだ。自分の力でなんとかしろ!」と思いました。(ゴメンネ…)

彼の思考回路は、今からすれば完全な指示ゼロ経営です。
僕は、課題解決を自分で考え、それを的確に社員に指示するという思考でしたが、彼は「こんな課題があるんだけけど、一緒に考えて欲しい」と頼りにする思考でした。

考えるのに必要な情報を開示して共に考えるパートナーシップです。

当時の僕は、そんな事を言ったら「そんなことまでオレたちが考えるのか?」と反発されると思っていました。
社員は、できるだけ仕事をサボるものという考えがあったらに他なりません。
でも、友人の話を聞いて、そして自分でやってみて思うことは「人は、頼りにされると嬉しい」ということです。

実は、その友人はセミナーで数回会っただけで、もう名前も覚えていませんし、どこで何をやっているかも知りません。
でも、僕の人生に大きな影響を与えた大切な出会いでした。

僕は、この方法が絶対に正しいと考えているわけではありません。
実力があり、社員をモチベートして、常に的確な指示を出して成功している経営者もいます。
それで上手く行っているなら変えなくて良いと考えています。
また、そういう経営者を目指すのも有りだと思っています。

でも、永く繁栄するにはトップの力ではなく集団の力で課題解決する方が確実だと考えています。
特に2代目3代目の後継社長は、完全な実力が付く前に就任します。
経営はやってから上手くなるからね。
先代の姿を見て、強いトップに引っ張られる組織の危うさも肌で感じると思います。

貪欲な成長意欲、稼ぐ意欲を持ちながら、既存の社員を頼りにするという方法もあるのです。

「頼りにする事」が遠慮なく仕事の話ができる第一歩だと考えます。

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい。

 

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