商売で成功したければお客様を好きになろう
商売には「モノを供給する商売」と「人とのご縁で成り立つ商売」があります。
前者は圧倒的に大手の得意分野で、後者は中小企業の行き方ですよね。
僕の街もご多分に漏れず商店街がシャッター通り化していますが、生き残っているお店はご縁を大切にしてきた店です。
顧客を「消費者」とひとくくりにせずに1人1人を大切にしてきた。
そういう会社は儲かると同時に、社員がよく育つと感じています。
みんなイキイキしているもん。
今日の記事は、中小企業が目指す「あなたから買う」という事を、弊社で実際に起きた事例から考えたいと思います。
顧客に投げかけた親切は返ってくる
僕は「あなたから買う」という現象が起きる理由を「返報性」だと考えています。
返報性とは、簡単に言うと「親切には親切で返す」「不親切には不親切で返す」という人間関係の原則を言います。
人間関係を作り、お客様に親切に接するとお客様もそれに見合う行動を起こしてくれるってこと。
僕はこれを肌で体感しました。
実は、僕が商売を継いだ21年前、弊社は「三悪堂」と地域の人から呼ばれていました。
「この町を悪くしている3つの企業」の総称です(笑)
アクだよ、ワルならカッコいいけど「悪」(アク)だよ。
本当に商売がやりづらかった。
嫌われているんだもん(笑)
で、まず取り組んだのが「脱三悪堂」です。
とにかく、できる限りの親切をしようということで「モア心地よさ運動」というのをやりました。
お客様と接するあらゆる部分で喜ばれることをしようという単純な活動です。
例えば、商品を入れる紙袋にちょっとしたメッセージを書き込んだりね。
それもお客様との個別の出来事…例えば、新聞配達ミスがあった方には「先日は、ご迷惑をおかけしまいた」と書く。
多分、スタバで紙カップにメッセージを書くのはウチを真似したんだと思う(笑)
この積み重ねで何が起きたか?
お客様からお手紙や旅行のお土産、畑で取れた野菜などを頂くようになりました。
あ、何で旅行のお土産をいただけるかというとね、旅行中って新聞を止めるでしょ?
連絡を頂いた時に「どうされました?」と聞くからだと思う(笑)
物をいただけるのも嬉しいのですが、商売なので買うという行為で返してくれたらな〜と思っていました。
その理由を考え出た結論が、今、朝日新聞を取っている方が、もう一紙、読売新聞を取るという行為で返せるか?という事です。
無理があるよね?
だから、新聞以外の商品を売ろうということで新聞社から出ている書籍の販売に力を入れました。
そうすると売れるんです。
表彰を受けるくらいに。
三悪堂時代にはまったく売れなった事を考えると、返報性が働いたとしか考えられません。
社員の役割は喜びの循環を創り出すこと
さらに10年経ち、今では注文用紙にメッセージを書き添えてくれるお客様が増えました。
すごく嬉しい。
商品の対価(代金)を払ってもチャラになっていないということだと思います。
商売は等価交換と言いますが、僕はそうじゃないと考えています。
常に、こちらが提供する心地よさが少し上回っているのが理想、成長の原則だと考えています。
そのことを、僕はスタッフを見ていて実感したんです。
モア心地よさ運動は現場が主体的に動かないと始まりません。
現場スタッフも三悪堂は嫌だったので、この活動をすんなりと同意してくれました。
最初は手探りでしたが、やっているうちに上昇スパイラルで上手くいくようになった。
その構図はこう。
「喜ばれる仕掛けをする」→「お客様が返してくれる」→「お客様のことが好きになる」→「もっと親切をしたくなる」→「さらに返ってくる」
プロの仕事にはこの好循環があるのだと思います。
社員を育てるのは上司ではなくお客様からの「おひねり」という好循環です。
これが繁栄の源であり社員の自発性が育つ好循環でもある、そう思います。
社員はモノを効率良く作ったり売るための機械じゃない。
喜びの循環を創り出す、創造的な役割を担った存在なのだと考えています。
ビジネスは人が幸せになるために開発されたものだから、社員がお客様とともに成長し、互いに富を手にするという関係が大切なのだと思います。
それでは今日も仕事を愉しみましょうね!