「指示を出す」<「任せる」<「頼りにする」…経営者の度量の不等式
手柄を自分のものにしてしまう上司と部下に渡す上司だったら、圧倒的に後者が支持されますよね?
「失敗した責任は自分、手柄は部下に」そんな度量がリーダーには求められます。
口で言うほど簡単じゃないけどね…(笑)
人は誰でも「自分はできる」と主張したいものですが、それを社長がやってしまうと社員は育ちません。
「自分の力には限界がある」…それを認めることです。
盲目の経営者が人材育成に成功した理由
僕の知り合いに盲目の経営者がいます。
後天的に目に障がいを負いました。
それまではバリバリ、派手派手の経営者でした。
天才的商才がある人だった。
夜になると社員を引き連れオネエチャンのいる店に行き大盤振る舞い。
社員に「何でも好きな酒を頼めよ!」と言っていたそうです。
僕が初めて彼と出会った時にはそうは見えませんでした。
すごく静かで、どちらかと言うと僧侶のような雰囲気を醸し出していました。
だから、その経緯を聞いてビックリしました。
彼の心にどんな変化が起きたかというと、目が見えなくなって文字通り、暗黒の心境になったそうです。
今まで普通に出来ていたことが、何1つできない。
もう、経営者人生が終わった…そう諦めた時に、心境の変化が生まれたそうです。
「諦め」…自分1人の力では行きていくことができないんだ…と。
それから彼は人に頼る生き方をするようになりました。
しばらくして組織に変化が起きました。
頼られた社員はこれまで以上に自発的に仕事に取り組むようになったそうです。
頼りにされると嬉しい…それが人間ってものだと思います。
頼れないのは自分のくだらないプライドが、エゴが邪魔をするからだと思います。
身体に障がいを負うことは珍しいことですが、多くの社長は何か大きな壁にぶち当たった時に、自分の限界を知り、社員を頼れるようになることが多いと感じています。
社員に頼ることでチームの総力を引き上げることができる
経営者の精神的な成熟度合いによって、社員との関係性が変わります。
デキる(あるいは、と思っている)経営者は、社員に指示を出します。
それがいけない訳じゃないよ。
この段階は必要な過程ですから。
それが指示しきれなくなり「任せる」という段階に移ります。
この状態は、自分でも出来るけど物理的に不可能だから任せるという状態です。
この段階は社長にとって一番ストレスで、自分の方が出来ると思っているから、部下の仕事に満足できない。
で、ケチをつけたり、任せておきながら指示を出したりしてしまい、ストレスを感じます。
いつまで経っても社員は自立しません。
ここで大きな壁にぶつかることが多いと思います。
その時に、自信を喪失するかどうか?で次のステージに行けるかどうかが決まると考えています。中途パンパに復活するよりも徹底的に打ちのめされたほうが良いと思う。
蕁麻疹が出来たり、毛が薄くなったり、胃を壊したり、命に関わらない程度に打ちのめされた方が良い。
ちなみに僕は、3回連続で自分が考案したビジネスが大失敗した時に自分の限界を知りました。そのうちの1回は社員と大衝突して、ここには書けない大問題に発展しました。
それでも、今でも時々「自分が一番デキる」という奢りが出るから、相当手強いのだと思います。
まだまだ打ちのめされなきゃいけないのかな?(笑)
優秀な経営者には2種類います。
1つは、本当に実務能力があり何でも出来てしまう人です。
もう1つは、自分の力には限界があることを知り、社員に頼ることで、チームの総力を引き上げることができる人です。
あなたはどちらを選びますか?
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!