説得にはデータが必要だが「納得」には情報が必要

経営資源として挙げられる「人・モノ・金」のうち、人に際立つ特徴は「移ろいやすさ」…可変性の高さです。
モノと金に関しては、手に入れてしまえば激しく変動することはありませんが、人に関しては、刻一刻と揺れ動き、非常に不安定です。

中でも、特に可変性が高く扱いづらいものと言えばモチベーションです。
しかし、扱いづらいゆえに、それを制御すれば競争力を獲得することになります。

モチベーションが高い人は、1つのことを徹底的に突き詰めることができますし、粘り強い試行錯誤に耐えることができます。アイデアの出現は、1つのことに没頭し試行錯誤をした時間に比例しますので、モチベーションが高い人には敵わないのです。

モチベーションの高い人材がどれだけいるかが競争力になります。

では、モチベーションは何から生まれるのでしょうか。

最も大きな要件は「情報」です。
モチベーションは、何かを見たり聞いたり読んだりした時…情報に触れた時に発動します。
このように整理すると、情報の扱いは経営の巧拙を決める重要課題と言えるでしょう。

その大事に対し、私たちはとても無頓着ではないか?…そんなことを僕に教えてくれたのは、中日新聞の元社長である小出宣昭氏です。
小出氏は「私たちは、情報という言葉を簡単に使うが、それは本当に情報なのか?」と問いかけました。

どういうことでしょうか。
情報とは「情を報せる」と書くように、そこに「情」が動く何かが込められています。情が動かなければ、それは「データ」と言うべきでしょう。

小出氏は、新聞記者に対し、データを情報化することを厳しく求めます。
このことを「年商1000億円というデータを情報化する」という事例で、私たちに教えてくれました。

1000億円というデータを情動で理解するためには、どんな表現ができるでしょうか。

小出氏はこのように事例を示しました。 

あなたが、スカイツリーの展望台から100万円をばらまくとします。人生で一度くらい、そんな体験をするのも面白いかもしれませんね。1000億円という金額は、その行為を毎日、273年間行うことができる金額なんです。

273年前は西暦1752年です。時は、江戸幕府の第9代将軍、徳川家重の時代です。とんでもない金額だということが解りますね。

リーダーは、数字をもとに経営の話をすると思います。正確なデータを基に考察することは大切なことですが、経営計画発表会などの肝心な場面では、その情報化が欠かせません。

最後に、素晴らしい情報化の事例としてユニセフを紹介します。
ユニセフは100円の意味を次のように伝えています。 

〜100円で救われる人がいる〜
・ポリオから子どもを守るための経口ワクチン5回分
・病気にかかりにくくしてくれる栄養素ビタミンAのカプセル33錠
・1錠で4~5リットルの水をきれいにすることができる薬131錠
 

HPでは、寄付金をこのように情報化しています。

数字に「情」を宿らせることができた時、それは人を動かす「情報」になります。
経営において本当に価値あるのは、数字そのものではなく、それをどう伝え、どう響かせるか。その力こそ、モチベーションを引き出す鍵ではないでしょうか。

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