「頼られすぎるリーダー」からの脱却!”手放し力”UPの3ステップ
先日、「指示ゼロ経営説明会」という勉強会を開催しましたのですが、今日は、そこで出た質問を共有したいと思います。
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PDSの三角に参画する話で質問です。私の中でですが、始めに一緒に考えながらプロジェクトを進めるのですが、頼られ過ぎてなかなか離れられない状況になります。上手な問いかけや離れ方があれば教えてください。
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まず、基礎知識として「PDSの三角に参画する話」について確認する必要があります。
「PDS」とは「PDCA」を短縮したものです。
「Plan(計画)」「Do(実行)」「See(振り返り)」のサイクルのことですが、僕は、この概念を次のような図解で説明しています。
この三角形を時計回りに回し続けることで仕事が進捗しますし人も育ちます。
トップダウン組織の問題点は、PとSをリーダーが行い、部下はDをやらされるという構図にあります。
人は物事に参画しないと自分事になりませんし、計画に参画しないと、計画の全容を把握できず、自分に割り当てられた仕事しか見えなくなります。
ということでPDS全体(三角形)に参画してもらうことが大切だということです。
それを踏まえ、ご質問にお答えしたいと思います。
現場を見ていないので正確な診断はできないのですが、よくあるケースをいくつか紹介したいと思います。
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❚ 特に問題ない
1つ目は、身も蓋もないと思われるかもしれませんが、スタッフの人数が少なく、リーダーがしっかりと目配りできれば「特に問題なし」ということです。
経営学に「スパンオブコントロール」という、1人の管理者が直接管理できる部下の人数や業務の領域を指す言葉があります。
研究によると、人数は業務の複雑さにより変わりますが、変化が激しい職場の場合、8人が限界と言われています。
結構多いんですね。
人数が多い、あるいは現場でPDSをを回さないと業務に支障をきたす場合は改善が必要ですが、そうでなければリーダーの管理化で行うことも悪くないと考えます。
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❚ 成長の「段階」を示す
次の対策は、「部下に、どのように成長して欲しいと思っているか?」…リーダーの考えを部下と共有するという方法です。
段階は3ステップで成り立ちます。
1、教え育む
2、教わり育つ
3、学び合う
「教え育む」
特には新人には基礎教育が必要です。何も知識がない人に「自分で考えて」は無理ですからね。まずはこの段階が必要です。
「教わり育つ」
次の段階は、主体が学修者に移ります。自らが知識を欲して学びに行くので学習効果は飛躍的に高まります。
「学び合う」
メンバーが仲間を教え育み、メンバーから教わり育つ相互学習です。
・教えた人が最も学習する。
・分からないことが放置されない。
・最も相性が良い仲間から学ぶことができる。
以上のような効果があります。
上記の3ステップに期限を設け、成長計画を部下と共有するのです。
僕が経営してきた会社では、1の段階に6ヶ月間〜1年間かけ、基本業務だけを徹底して教えます。基本業務には細かな手順が定められています。朝、出社した時の鍵の開け方からセコムの解除の仕方、その後、どこで何をするか…退社するまでの一連の「行動ラインナップ」が一覧表になっていて、先輩社員と確認をしながら進めていきます。
当社では、2年目からは「教わり育つ」の段階に入ります。
この段階に入った瞬間に、上司から積極的に絡むことはなくなりますが、上司は、部下に聞かれたこと、相談されてことは必ず丁寧に答えます。
3年目に入ったら、これまでの「上司(先輩)と部下」に関係を解除し「学び合い」の段階に入ります。
そのためには、チーム単位で課題を持ち、みんなの知恵と協働で仕事を進める必要があります。
チームの一員として、チームのミッション達成のために、時に仲間を教え、時に仲間から教わり、チームに貢献してもらいます。
上司は、部下から相談されても「みんなに相談して」と突き放します。ただし、個人的な相談や人間関係の悩みに関しては例外です。
以上が、質問への標準的な回答になります。
最後に、件の質問者にはその傾向はないのですが、リーダーによっては、「言うことを聞いてくれそうな人」ばかり採用する人がいます。
支配願望があると、今日紹介した手法はまったく使えませんので注意が必要です。
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