幸せに稼ぐ国デンマークから学ぶ「制約」を付加価値に変える働き方

「世界幸福度報告書」の2025年度版が発表され、フィンランドが8年連続で1位を獲得しました。
2位以下はデンマーク、アイスランド、スウェーデンと続き、北欧の圧勝でした。

このニュースをラジオで聞いた時、僕はセミナーで使う「国際競争力ランキング」に関する資料を作っていました。
2024年度のランキングは、1位のシンガポールに続き、スイス、デンマーク、アイルランド、香港、スウェーデンと並び、ここでも北欧が目立って強く、特にデンマークとスウェーデンは上位の常連です。
両国とも、特に中小企業の強さが際立っています。

幸福度と国際競争力の間には相関関係がある可能性があると思い調べたところ、有益な調査研究を多く発見しました。
そこから観えてきたのは、日本人が聞けば文句を垂れたくなるような制約だらけの国だということです。

例えば、日本は人口減少をこの世の終わりかのように議論していますが、デンマークの人口はわずか595万人で、千葉県よりも少ないのです。
租税率は世界で最も高く、消費税は25%、所得税は40%〜60%、クルマの購入にはなんと280%の税金がかかるのです。
首都のコペンハーゲンが世界有数の「自転車都市」になった理由が分かりますね。

こうした実情から次のような洞察を得ることができます。

それは、デンマークは好条件だから幸福度や国際競争力が高いのではなく

「制約があるから上手に生きている」

ということです。

どういうことでしょうか。
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スマートに働くデンマーク人

そもそも人口が少ないので、限られた人員で付加価値をつくらなければなりません。すると、効果のない会議や、上司のプライドを満たすための報・連・相がなくなります。任せたのに、いちいち細かなチェックもしません。
このような仕事の進め方をすると、必然的に上下関係が希薄になります。デンマークでは上司部下に関係なく、ファーストネームで呼び合うことが標準だそうです。
上下関係が薄いと、会議での発言が活性化します。
サッと集まり文殊の知恵を出し、役割分担を決めたら、あとは本人を信頼して任せます。

日本人が見習うべき大事ではないでしょうか。

日本のPDCAは「PdCa」という話があります。
PとCは大文字ですが、dとaは小文字で書かれていますね。
つまり、Pan(計画)とCheck(チェック)はしっかりやるが、Do(行動)とAct(改善・対応)は脆弱という意味で、考えてばかりで行動しない、頭でっかちな日本企業の問題点を指摘しています。

デンマークでは「pDcA」ということでしょうか。

こうした仕事の進め方は生産性の向上にとどまらず、幸福度が高まることが分かっています。
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創造性が高まる構造的要因

租税率の高さは、働き方に対する価値観を根本から変えます。
どうせ税金で持っていかれるとなると、お金のために我慢して働くことがバカバカしくなります。それならば自分が好きなことを仕事をしようと考える人が増え、これが付加価値の源泉になっています。

また、これは制約ではありませんが、デンマークでは、仕事よりもプライベートを優先する文化が強いため残業を忌避します。
仕事を始める際には、最初に退社時間を設定するそうで、その効果で16時退社が標準になっているようです。

残業嫌いと言えば、未来工業株式会社の創業者である、個・山田昭男さんの言葉を思い出します。
同社は残業がほとんどないことで知られていますが、2011年に同社を視察した際に、山田さんはその理由を次のように述べていました。
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夜遅くまで働いて、家に帰ったらメシ食って風呂入ってバタンQ、なんていうのは家畜の生活だ。早く家に帰って家族と過ごしたり趣味に没頭したほうが良い。それが結果的に創造性を生む。

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同社はソニーと肩を並べる特許取得数を誇りますが、その礎にはデンマークと同じ文化があったのです。

というわけで、デンマークの特徴をダイジェストで書きましたが、最も重要なポイントは「制約」をバネにしているということではないでしょうか。

これからの時代、日本も相当な制約を強いられることは必至ですが、デンマークを参考に「制約を活かす」という発想に転換できれば未来は明るいのではないかと思うのです。
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