今、求められる力は「論理思考」よりも「アート感性」

よく経営者が「ウチの社員は言われれば動くのだが、自分で課題を見つけることができない」と嘆きますが、実は、課題を設定できていないのは、他ならぬ経営者自身かもしれません。

何度もブログに書いてきましたが、今は生活者が課題を設定してくれない時代です。
以前は、「温かい家に住みたい」「もっと速い車が欲しい」と、分かりやすい課題を教えてくれました。
私たちは、課題さえ設定してくれれば、それを解くことは得意です。義務教育でその訓練を嫌というほど積んできましたからね。

しかし、自分で課題を設定するのは苦手です。

「こういう製品を作ろう」と決まれば強いのだが、どんな製品が現代の生活者の心を満たすのかを考えるのは苦手です。

というのも、今は、大抵のモノに満たされたため、生活者自身が自分の課題が分からなくなっているからです。
「どんなテレビが欲しい?と聞いても、ほとんどの人は答えることができないでしょう。
答えられたら億万長者になれるかもしれません(笑)

稀に、課題設定に長けた人がいます。そういう人は「こういうのが欲しいんでしょ?」と、魅力的な提案ができるのですが、生活者は、その提案を受けた時に「そうそう、こういうのが欲しかったの」と、初めて自分の課題を知るのです。

「こういうのが欲しいんでしょ?」…つまりビジョンを描くことができれば、それに必要なものも見えてきます。
ノウハウ、人材、情報、資金、人脈など、必要な資源が分かるのです。
必要なものが分かれば、社員は自発的に行動します。そういう訓練は十分に受けているのすから。

根本原因は、社長自身がビジョンが描けていないことにあるのではないでしょうか。

ビジョンデザインが苦手なのは、とりも直さず、学校で正解がある課題ばかり解いてきたからです。
教育は、長いこと論理思考の訓練に偏りすぎました。五教科を重視し、美術や音楽は「副教科」と呼ばれるように、オマケ扱いです。
ビジョンは論理では導き出すことはできません。論理で考えると、どこも同じような結論に達し独自性が毀損されます。
このことは、電機店に行けば、メーカー名を隠せばどこのメーカーか分からない家電品で埋め尽くされているのを見ると分かりますね。

ビジョンデザインには「アートの感性」が必要だと思います。
アートは情動です。「これを表現したい」「これをお客様に体験して欲しい」という思いです。
どれも「そうせずにはいられない」という衝動から生まれます。

そういう意味で、僕は、経営者ビジネス書ばかり読んでいないで、映画を見たり小説を読んだり、芸術や伝統工芸に触れる機会を増やした方が良いと考えています。
しかも、ビジネス感性を養うためにといった功利的な動機ではなく、純粋に楽しむことです。
タイパとかコスパといった経済合理性だけで生きないことだと思います。

これは、僕の持論ではなく世界的なトレンドのようです。
20年ほど前、STEM教育という概念が登場しもてはやされました。STEMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をとって命名されました。

それが最近では「Art」(アート)が加わり「STEAM」教育に昇華しました。時代を象徴する変遷ですね。

ビジョンが明確になれば、社員はモチベーションと自発性を得て、素晴らしいチームワークで、実現に必要なものを整えてくれるはずです。

論理的な課題解決力も必要ですが、これからはより「アート感性」が求められると考えています。
.
※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」を!読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。


▷セミナー、イベント、社内研修のお知らせ

採用術セミナー 2025年3月19日(水)
【オンライン開催】人手不足の根本を解決する。自社の発展の礎となる人材を採用し、企業の活力を高めます。

賃金制度構築セミナー 2025年4月23日(水)
【オンライン開催】賃上げムードを追い風に。組織の活力と稼ぐ力を底上げする賃金制度と使い方をゲームを通じ学びます。

社内研修のご依頼はこちら
みんなで学び一気に指示ゼロ経営の文化を創る。
現在「社内研修」を2社、「研修から伴走までの完全パッケージ」は1社受け付けております

講演会を開催したい方
所要時間90分。経営計画発表会や新年決起大会の後に!
・自発的に働く意義と愉しさが体感できる。
・事例9連発!「自分たちにもできる」と行動意欲が高まる。