「歌って踊れる人」が活躍する時代になった。

15年ほど前に、メンターから「これからの時代は歌って踊れる人が活躍する時代になる」という話を聞きました。
ダンス教室が流行るわけでもあるまい…と思い、その真意を聞くと、「いずれ解る」と宿題を出されてしまいました。
僕なりに考えた結果、歌って踊れるとは「芸術的な感性を持っている」という結論に至り、その視点で様々な経営者を見ると、確かに活躍している人が多い。

俄然興味が湧き、調べてみたら学術研究もなされているんですね。
ミシガン州立大学生理学教授、ロバート・ルート=バーンスタインの研究によると、ノーベル賞受賞者には、ほかの科学者や一般の人に比べて、アートの趣味を持つ人が3倍もいたのです。

ノーベル賞は、これまでにない革新的な発見、発明をした人に送られる賞です。まさにアートと同じ性質と考えると合点がいきます。

メンターは「これからの時代は」と言いましたが、それはどんな時代なのでしょうか?
僕は、後にそれを「正解がない時代」と考えました。
日本は、これまでアメリカが「これが豊かな生活だよ」と正解を示してくれましたので、それに向かってロジックを組み立てる能力を持った人材が必要でした。その要望を受け、教育は五教科に代表される、正解がある課題を効率よく解く訓練を主体に行いました。

対し、音楽や美術はオマケ的な存在です。このことは、それらを「副教科」と呼ぶところに表れています。

さて、時代は大きく変わり、今や、日本は地球上で最も成熟した国になり、ビジョンを示してくれる国がなくなってしまいました。
無いものを想像(創造)する力が求められるのにもかかわらず、その教育を受けていない人が大多数という現状を考えると恐ろしくなる…と言いたいところですが、悲観する必要はないと考えています。

メンターは「歌って踊れる人が必要になる」とは言っておらず、「活躍する」と言っています。
つまり、すでにいて、やがて活躍すると言っているのです。

無いものを描く人は少数で良いのです。そんな人が多すぎるとカオスになってしまうと思いますからね。
その人の周りに、それを形にする実務家がいれば創造活動は成立します。

芸術的感性を持った人は、少数であっても必ずいるものです。公教育が教育をしなくても存在するのは、日本の伝統的な芸術や工芸、民芸の影響だと思います。

企業で創造活動を活性化するためには、芸術的感性を持った人が自由に活動できる風土と制度が必要です。

トガッたアーティストがメジャーレーベルに所属すると、大人の事情に巻き込まれ、つまらなくなってしまうことがありますが、アートを扱う産業でそうなのだから、一般企業はよほど気をつけないとトガッた感性を摘んでしまいます。

創造性に関して、スティーブ・ジョブズが残した言葉から、縛りの少ない組織風土の重要性を知ることができます。

創造性は何気ない会話から、行き当たりばったりの議論から生まれる。たまたま出会った人に何をしているのかを尋ね、うわ、それはすごい、と思えば、いろいろなアイデアが生まれてくる。

この中にある「たまたま」というワードは示唆に富んでいると思います。たまたま=偶発性を味方にするためには、あまり細かな計画を立てず、大まかな方向性と段取りを共有したら、進みながら修正したり、たまたま発見したもの組み合わせたりする、しなやかな進め方が求められるということです。
まさにアーティストの感性だと思います。

ジョブズは、日本に訪れた際に、必ず京都や、メトロポリタン美術館に寄ったそうです。
私たちは、ないものねだりばかりしがちですが、実は宝の上であぐらをかいているのかも知れません。
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