離職者が出た時を組織変容のチャンスに変える方法

組織風土やビジネスモデルといった経営の根幹を変える時、考えが合わずに離職する社員が出ることがあります。
そんな時、リーダーは身体の一部を持っていかれるような痛みを感じたり、罪悪感に苛まれたりすると思います。

しかし、離職は互いにとって良いことと捉えるべきだと考えます。
仙台行きの新幹線に乗っていたと思ったら、行き先が福岡に変われば、下車する人が出るのは自然なこと。
よく、音楽バンドが「方向性の違い」を理由に解散しますが、それと同じで、それぞれの道を進むのが互いにとって幸せなことだと思います。

離職者が出た時は、むしろ組織変容のチャンスです。

その上で大切なことは「その後の採用」です。
何かを変える時には、あらかじめ下車する人が出ることを想定して採用の準備を整えることです。
この話をすると、「恋人と分かれる前に、次の恋の準備をする男のようで嫌だ」という人がいますが、企業の人事と恋愛を同列に語ることはできないと思います。

下車(離職)は突然起こります。
「社長、ちょっとお時間いいですか?」とやってくる。

中小企業には人員のゆとりはありませんので、急に辞められると困ります。困った時は、とにかく頭数を揃えることに意識が向くので採用が甘くなります。
「アバタもエクボ」で相手がよく見え、多少問題があっても「入社後に教育すればいいや」と考えてしまいます。
しかし、技術や知識なら教育で解決できますが「行き先」に共感していない場合、教育でリカバリーすることは不可能と思った方がいい。
組織の行き先に共感していない場合、乗車してもすぐに下車してしまいます。下車してくれれば良い方で、残ったまま既存の社員に悪影響を及ぼすこともあります。

絶対に妥協してはいけないし、妥協しないために採用の準備を万全にすることが大切です。
「絶対」と断言するには理由があります。

組織が変容するには、およそ15%〜20%の味方が必要です。
その潮目を超えると雪だるま式に賛同者が増えていきます。

これを学校で起きるイジメを例に見てみましょう。
子どもの数が10人の、イジメの問題を抱えている学級の例です。教師は、イジメをなくしたいという思いを子どもたちに伝えました。そして、全員にアンケートを取りました。設問は1つだけ。「あなたは、何人がイジメを止めたら、自分も止めますか?」というものです。
その結果、次のような回答が得られました。

「止める人が0人でも私は止める」…1人(Aさん)
「1人が止めれば、自分も止める」…0人
「2人が止めれば、自分止める」…1人(Bさん)
「3人が止めれば」…2人(Cさん、Dさん)
「4人が止めれば」…0人
「5人が止めれば」…3人(Eさん、Fさん、Gさん)
「6人~8人が止めれば」…0人
「9人が止めれば」…1人(Hさん)
「10人が止めれば」…2人(Iさん、Jさん)

この10人を分布図にしてみましょう。

この図を見ると、Bさんの後に賛同者(CさんとDさん)が増えているのが分かりますね。CさんとDさんの後には、さらに、Eさん、Fさん、Gさんと指数関数的に増えていくのが分かります。

採用が絶対に重要と強調するのは、採用した社員が20%を超える臨界点になる可能性があるからです。臨界点とまでは行かなくても、その一歩手前でも十分に有り難いことです。

よく、「採用を変えたら急に組織が良くなった」というケースに遭遇しますが、そこには上記のメカニズムが働いているのです。

あなたの新幹線は、どこを目的地にするか。
その旅路はどんなものか。

それが明確であるほど、賛同者が現れる一方で、下車する人も現れます。
それは組織にとって好転反応と捉え、準備をして前に進みましょう。
.

採用に強い会社になりましょう。3月19日(水)に採用術セミナーを行います。

✓自発性の高い人材がたくさん集まる
✓面接時の情熱とヤル気が入社後も続く
✓先輩社員が新人の教育に関心を持ち共に育つ

1年に2回だけの開催です。
↓詳細はこちらをチェックしてください。