ほぼ呪い。「温情型」という最悪のリーダーシップ
トップダウンは、創業期や危機に直面した時などでは有効なリーダーシップです。
上司と部下との間に信頼関係があり「司令塔という役割をリーダーが担う」という合意があれば、独裁ではなく民主的なあり方だと考えることができます。
一方、どんな時も最悪なリーダーシップがあります。
それは、ほぼ呪いとも言え、メンバーの思考と創造性を破壊します。
気をつけないと、無意識のうちにやってしまうことがあるので、今日の記事を参考にしてください。
そのリーダーシップを、米国の心理学者リッカートは「温情型」と名付けました。
要するに「恩着せがましい」リーダーです。
どうして温情型がメンバーに呪いをかけるのでしょうか。
温情型は、「相手のため」という嘘の口実(偽善)で人に近づきます。厄介なのは、本人には偽善という認識はまったくないことです。
彼らは、口では「相手のため」と言いますが、実は見返りを求めている…功利的な思惑を持って接近してきます。
真に相手のことを思っていれば、見返りは求めませんからね。
見返りに求めるものは「服従」です。
温情型は、2つの矛盾したメッセージを相手に投げかけ心を縛ります。
まず、前提として「あなたのためを思っている」「私はあなたを信頼している」というメッセージを投げかけ近づきます。
その言葉は、暗黙に「だから、あなたも私を信頼しなければならない」というメッセージを含みます。
気持ちには気持ちで返すのが礼儀と考えますので、強制的に関係性が構築されてしまうのです。
温情型は、相手に、繰り返し恩着せがましい世話を焼きます。
ここに第2のメッセージが含まれています。
それは、「まだあなたは分かっていない」「あなたはもっと理解しなければならない」「あなたは私が世話をしないとダメ」という、不信頼のメタメッセージです。
その証拠に、温情型は「私が言った通りでしょ?」という言葉をよく使います。
ここで部下の立場で考えてみましょう。
上司が、「あなたのためを思っている」という前提を敷いている以上、部下も「私も同じです」と応えなければいけない。
同時に「自分は何も分かっていない」という罪悪感が蓄積する。そうなると、部下は「服従」しか差し出すものがなくなります。
こうして、恩着せがましいさから逃れることができない服従地獄に落ちることになるのです。
これを呪いと言わずして何と呼ぶのでしょうか。
こうした呪いの関係は、職場だけでなく学校や家庭など、簡単に関係を切れない場で起こります。一旦、思惑が作動すると、蟻地獄のように引きずり込まれてしまうので注意が必要です。
では、どんな関係が理想でしょうか。
荘子「山木」に出てくる言葉から洞察を得ることができると思います。
「小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)の如し、君子の交わりは淡きこと水の如し」
立派な人物は水のようにさっぱりとした付き合いをするのに対し、そうでない人物は利害で結びついたベタベタした関係を築くということです。
マメに部下に声をかけないと不安のなるようだったら、自分が温情型になっていることを疑い、心を正すと良いかもしれません。
.
※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」を!読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。
▷セミナー、イベント、社内研修のお知らせ
■採用術セミナー 2025年3月19日(水)
【オンライン開催】人手不足の根本を解決する。自社の発展の礎となる人材を採用し、企業の活力を高めます。
■賃金制度構築セミナー 2025年4月23日(水)
【オンライン開催】賃上げムードを追い風に。組織の活力と稼ぐ力を底上げする賃金制度と使い方をゲームを通じ学びます。
■社内研修のご依頼はこちら
みんなで学び一気に指示ゼロ経営の文化を創る。
現在「社内研修」を2社、「研修から伴走までの完全パッケージ」は1社受け付けております
■講演会を開催したい方
所要時間90分。経営計画発表会や新年決起大会の後に!
・自発的に働く意義と愉しさが体感できる。
・事例9連発!「自分たちにもできる」と行動意欲が高まる。