自由と好き勝手を履き違えた社員をどうするか?
民主的で自由な経営を目指すと、自由と好き勝手を履き違えた傍若無人な社員が出ることがあります。
民主的な組織は、自由と責任がセットで初めて成立しますが、それができない人がいると、組織はカオスに陥ります。
自由と責任の分別は、日本人は苦手と言われています。
オランダの社会心理学者、ヘールト・ホフステードは「権力格差」という概念を提唱しています。
権力格差とは「権力に依存する度合い」を指します。
権力格差が大きな国や組織では、民(メンバー)は「上の者がしっかりしてくれなければ現状はよくならない」と考えます。当然、組織構造はピラミッド型のヒエラルキー型になります。
日本の権力格差は、先進国の中では比較的に高い位置にあります。それは水戸黄門や大岡越前のような、権力がトラブルを収めるという物語が好きというところに表れていますね。
そもそも、義務教育の課程で自律を教育されていないので無理もありませんが、教育されていない人を対象に民主的な経営は不可能です。
目指すのであれば、企業が教育するしかありません。
そのための第一歩は、自由と好き勝手の分別の「モノサシ」をつくることです。
民主的な感性を持つリーダーは「そのモノサシをみんなで作ろう」と考えますが、それは、ある程度メンバーの自律が育ってからの話です。
「信頼して待っていれば、そのうち育つ」ということもありません。時間とともに、部下に「自分は自由を謳歌している」という勘違いが強化されるだけです。
自由と好き勝手の分別ができていない原因をメンバーに求めてはいけません。
育てる過程では、リーダーがモノサシを提示必要があります。
そのキーワードは…
「譲れるものと譲れないものを宣言する」
というシンプルなものです。
例えば、掃除をしない部下がいるというケースで考えてみましょう。
まず、リーダーは掃除の目的を明確にします。
例えば「他者への貢献意識が育つ」「業務が効率化される」といった目的があるはずです。
それは譲れないし、譲る必要はありませんし、絶対に譲ってはいけません。
掃除は、そのための手段ということなります。
手段は譲れると思います。
自由と好き勝手を履き違えている部下に対しては、「私は、目的は譲れない」と伝えます。同時に、
「掃除以外の手段があれば、それでも良い。提案して欲しい」と問います。
他にも、研修に出ない部下がいるというケースでは、「研修は◯◯ができるようになるために開催する。私は、◯◯ができるようになることは譲れない。研修はその手段だから、他に有効な手段があればそれでも良い」ということになります。
こう言うと「独裁ではないか?」と言う方がいますが、独裁ではありません。独裁とは、目的も手段も譲らない状態を指します。
問い詰めるような態度ではなく、相手を尊重し真摯に対話することが大切です。
譲れないものを明確にすると、譲れるものが浮き彫りになります。
だから任せられるのです。
部下は、リーダーが譲れないものを知ることで、自分で考えるべき部分が浮き彫りになるということです。
これが習慣化すれば、やがて暗黙知になり、いちいち確認する必要はなくなります。
そうなって初めて民主的な経営が実現するのです。
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