お金を使う品格と稼ぎの不思議な関係
「稼ぎは、その人が顧客の立場の時の振る舞いで測れる」
僕が、そんなことを知ったのは、2人の人物と同じ時期に食事に行ったことがキッカケでした。
1人は僕の取引先の社員です。
その方は、店員さんを下に見ていました。「オレは客なんだぞ」という、ぞんざいな態度で店員さんを使うのです。「君、お酒をちょうだい。水も忘れないようにね」という命令口調で接していました。
店員さんも、僕も嫌な気持ちになったし、近くにいるお客様も不愉快だったと思います。
彼は「お客様は神様」の真意を完全に勘違いをしているのだと思います。
しかし、僕は知っています。
職業人としての彼は、いつも、コメツキバッタのように顧客にヘコヘコしているのです。それでいて部下には強くあたる。
彼は、日頃のストレスを店員や部下に発散しているようでした。
僕は「彼の部下はどんな気持ちで働いているだろうか?」と考えました。
きっと、萎縮して創造性なんて発揮されないでしょう。行動の動機が「怒られない」になり、指示されたこと以上のことはしないでしょう。
「稼ぎは、その人が顧客の立場の時の振る舞いに表れる」ということの、ポジティブな側面を教えてくれたのは僕の師匠である小阪裕司先生です。
ある時、先生とイタリアンレストランに行きました。
お店に入る前から、先生は、食事を愉しむ気満々なのが分かりました。
お店に入り、店員さんがお水とメニューを持ってくると、「今日、このお店で食事をすることを楽しみにしていました」と目を輝かせて言います。そして、メニューに合うワインを聞いたり、アラカルトメニューの組み立てを相談するのです。
店員さんはシェフを呼びました。
もしかしたら、最初、シェフは「面倒な客」と思ったかもしれませんが、先生と接するとプロ意識が刺激されるのか、真剣に話を聴き、自分のオススメを提案していました。
先生の態度は、礼儀正しいとか、そういう次元ではありません。
「愉しみの場」が立ち上がるのです。
先生は、まったく違うパラダイムを生きています。
通常のパラダイムでは、レストランはサービスの提供者、顧客は消費者という立場になります。
これが先生の場合、互いが愉しい時間を創造する「生産者」という関係で結ばれるのです。
その関係性づくりの仕掛け人は先生です。
僕は、先生と店員さんの会話が、普段の先生と門下生の会話と同じであることに気づきました。門下生たちは、先生から一方的に教わるのではなく、自ら学びの場を創るのです。しかも、それを愉しんでいる。
僕は「先生と一緒に働くスタッフさんはどんな気持ちで仕事をしているだろうか?」と想像しました。
そのイメージが後に指示ゼロ経営の構想に接続されたのです。
是非、先生のスタッフさんの気持ちを想像してみてください。
組織風土づくりのヒントが得られると思いますよ。
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