育成上手なリーダーがやっている、任せる前の2つの初期設定

人と組織の育成は、好循環か悪循環かのどちらかしかありません。

・悪循環:任せない→育たない→指示が増える→やらされになる→育たない→任せられない
・好循環:任せる→育つ→より安心して任せられる→より育つ

悪循環か好循環か?…循環の勢いの差こそあれ、すべての組織がどちらかの状態に置かれているはずです。

もし、悪循環に陥っているならば、循環を逆回転に移行しなければなりません。
その方法について、僕の失敗体験から洞察が得られると思いますので、恥を忍んで紹介しますね。

「これはご法度」という間違った方法があります。

・いきなり難しい課題に取り組む。
・丸投げする。

僕は、新聞店の社長時代に、ご法度を踏み大変な思いをしました。
新聞市場が衰退することは自明でしたので、業態転換の必要性は重々わかっていました。しかし、スマホの登場で衰退が加速してしまったのです。
これは想定外でした。

業態転換は喫緊の課題だったのですが、僕にはアイデアがなかったので、社員に任せることにしました。

業態転換は、ある意味、起業よりも難しい課題ですし責任も重い仕事です。無茶振りもいいところですよね(笑)
それを丸投げすれば、当然、社員に巨大なストレスがかかり、思考も創造性も萎縮してしまいます。

フロー研究の第一人者である、ミハイ・チクセントミハイは、フロー(ゾーン)に入る要件として、取り組みの「難易度」と「実力」のバランスが大事だと述べています。

実力があるのに簡単すぎる課題しか与えられないと退屈になりますし、逆に、実力をはるかに超える課題を与えるとストレスになります。

僕が社員に無茶振りしたのは、まさに図の「強い不安」の領域でした。

では、僕は当時、どのように社員に任せればよかったのでしょうか。
それは「ご法度」の逆の要件を打ち出すことでした。
つまり…

・適度な難易度から始める。
・リーダーの役割を「サポート」に徹する。

例えば、地域密着型の新事業を興すには、地域の実情を知る必要があります。「地域の高齢者はどんな不便を感じているのか?」「共働きの夫婦は、地域にどんな不満を持っているのか?」「行政の課題は?」
こうした情報が必須で、その収集であれば難易度は適正になります。

そして、調査の依頼は、初回は僕が同行するなど「肩書の力」を活用しサポートすればスムーズにいきます。
何をサポートすれば良いか分からなければ、社員に聞けば教えてくれます。
社員は「社長がサポートしてくれるなら頑張らなきゃ」と張り切ってくれるでしょう。

当時、社員は相当なストレスを抱えながらも、とても頑張ってくれ、見事に業態転換に成功しました。しかし、それは、社員同士の関係性が規格外に優れていたからです。そうでなければ空中分解したと思います。

人と組織が育たないのは、社員の側に問題があるのではなく、難易度の高い仕事を丸投げしているからかもしれません。
リーダーにとっては、さほど難しくない課題ても、社員さんに重いものです。

リーダーは、早く任せたいと思うものですが、一旦立ち止まり「難易度のコントロール」と「リーダーのサポート」を考えることが大切だと考えています。
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