その求人広告では、いい人が来ない理由

中小企業の人手不足は深刻で、2024年に人手不足が原因で倒産した企業は過去最多を記録しました。
そんなご時世を受け、3月に採用セミナーを行いますが、これから数回に渡り、セミナー内容の切り取り記事を書きたいと思います。

今回は「求人広告の書き方」について。

新聞に入るスーパーの折り込みチラシを見ると、どの店のチラシも、商品名と価格しか表記されておらず、顧客からしたら、どれを選んだらいいか迷いますよね。
それでも、生活者は「日用品は買わなければいけない」ので、唯一の判断材料である「価格」を見てお店を選びます。

同じようなことが求人広告でも起きています。
どの企業も、職種と賃金や休日などの待遇しか書かれておらず、職を探す人は、どこを選んだらいいか迷います。それでも「働かなければならない」ので、唯一の判断材料である「待遇」を見て会社を選びます。

消費市場と労働市場で、同じことが起きているのです。
ということは、どんな対策をすれば良いかも自明となります。

それは…「価値を伝える」ということです。

例えば、以前に、お掃除ロボット「ルンバ」の秀逸なキャッチコピーを考えた人がいます。

「お掃除を代行してくれて、夫婦喧嘩が減りました」

ルンバの性能や特徴も大切ですが、「ルンバを使った”その先”に訪れる体験」を伝えることが秘訣ということです。

求人広告もこれと同じで、自社で働く「その先」にどんな体験ができるかを書くと反応が高まります。
「あなたの職場で働くと、どんな体験ができますでしょうか?」…こう問うと「特段ない」という言う人が多くいます。
しかし、本当にそうでしょうか。

ここで話を再び販売の現場に移しますね。
あるスーパーでは、店主が「ウチには特段、これといったウリがない」と言いました。本当にそうなのか?ということで、僕は、「お客様に聞いてみよう」と提案しアンケートを取ったところ、「店員さんが親切」「駐車場が停めやすい」「お惣菜が美味しい」など、お客様は、ちゃんとした理由があって同店を選んでいることが分かりました。
それをチラシに書いたところ、新規客が大勢来店しました。しかも「値段以外の要素で選ぶ優良顧客」です。

求人広告をつくる際は、既存社員にアンケートを取り、自社の魅力を浮き彫りにし、それを載せることが有効です。

逆に、それをせずに、待遇だけで勝負すると、待遇に関心が偏った人を集めてしまいます。
スーパーで言えば、価格にしか関心がない面倒な顧客です。

待遇に偏った人を動かすためにはアメとムチの使い分けが必要になり、経営は複雑になりコストも労力もかかりますし、教育も苦労します。

求人広告には「書いた通りの人が来る」という法則がありますので注意が必要です。
まずは、現在、すでにある魅力(価値)を伝えることです。

そのうえで、「これから作る価値」…ビジョンも書く必要があります。
「こういう企業を目指している」ということを書き、「会社の未来を、一緒につくってくれる人、集まれ」と誘うのです。
未来のイメージは具体的である必要があります。「地域に必要とされる企業になる」などというボヤケた描写では心は動きません。

あるラーメン店では、熱狂的なファンの方がお亡くなりになった時に、家族が、お店にお願いしてラーメン丼をもらい、棺桶に入れたというエピソードがあります。採用活動では、こうしたエピソードを紹介し、「こんなにも愛される仕事を、これからもつくっていく仲間を募集しています」と伝えるのです。

ビジョンがなければ、求人を機会に作ればいい。
それをすることで、既存社員も育ちます。

まとめると…
▢求人広告には書いた通りの人が来る。
▢すでにある魅力を既存社員にヒアリングして、広告に書く。
▢ビジョンを描き、「一緒につくってくれる人、集まれ」と誘う。

参考にしていただければ幸いです。


1年に2回だけの開催。採用術セミナーを3月19日(水)に行います。

✓自発性の高い人材がたくさん集まる
✓面接時の情熱とヤル気が入社後も続く
✓先輩社員が新人の教育に関心を持ち共に育つ

↓詳細はこちらをチェックしてください!