最高のリーダーは部下に「私たちがやった」と言わせる

読書をすると、自分の無知を思い知らされ、ズキズキと心が痛むことはないでしょうか。
僕はそれが嫌で本を遠ざけていた時期がありますが、やっぱり学ばないと成長しないんですよね。

成長には痛みが伴うもの。
ソクラテスは、自分が知らないことを知ることの重要さを「無知の知」と呼びました。成長の第一歩は、「私、知らないんだ」という痛みを伴った気づきから始まるということです。

ところが、もう1つ、成長のアプローチがあると言います。
それは、「ごちゃごちゃしたキャンパスを真っ白にする」という方法です。この表現は、たまたまつけたラジオで聞いたのですが、とても的を射た表現だと思いました。

キャンパスが以前に描いたものでごちゃごちゃしていたら、新しいものは描き込めません。
ラジオでは、最近話題の「リスキリング」をテーマにあげ、その第一歩は「消去」だということを話していました。

私たちは、学ぶという行為を足し算のように捉えがちです。知識の量を増やすだけならそれで良いのですが、知識を実務で使うなら、脳内を最新の状態にアップデートする必要がある…つまり「引き算」をすることが求められます。

僕は、この話に衝撃を受け、メンターに話しました。
すると、メンターはさらっとこう言います。

「そんなものは無理な話だ」

身も蓋もない言い様ですが、冷静になるとその通りだと思いました。
脳内の記憶を消去することは不可能ですし、脳は物事をパターン化し学習する性質があるので、過去に仕入れた知識や体験の呪縛から逃れることはできません。
これが、いわゆる「頭が固くなる」ということです。

いかんともしがたい事実であるとすれば諦めるしかありません。
ここで言う「諦め」とは肯定的な意味で、その語源であるとされる「明らかにする」ということです。
何を明らかにすれば良いのでしょうか。

それは「活躍の仕方」を明らかにすることです。

これまでの、自分のキャンパスを充実させるスタイルから、「白いキャンパス」に頼るという活躍の仕方です。
つまり、若い人たちの力を借り、任せるということです。

米国の社会心理学者、ディーン・サイモントンは、キャリアの生産性は、20年目にピークを迎え、その後は急速に低下していくということを発見しました。
20歳から働き始めたとすれば、40歳以降には働き方を変える必要に迫られるということです。

老師の「最高のリーダーは人々に”私たちがやった”と言わせる」という言葉は、今、とても重みをもって聞こえるのです。

自分のキャンパスを充実させるのではなく、白いキャンパスが活躍できるように自分の知識と経験を活かすことが、年配者が老害扱いされずに、最前線で活躍する最善の方法だと思います。

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