1995年のクリスマスイブと、真夏に見たサンタクロース

僕には、特別なクリスマスイブの思い出が2つあります。
1つは、1995年の12月24日。
この日の夜に父が旅立ちました。この年の夏に末期がんが見つかり、即入院。
医師からは余命半年を宣告されましたが、当時は本人に告げることは稀で、胃潰瘍ということにしました。

11月下旬頃には、おそらく父は自分の余命に気づいていたと思います。
明らかに精神的な変容が起きていました。
それまでは、看護師さんに、自分が経営者であり財を成したことを自慢気に語っていました。
「オレの会社」「オレの外車」お見舞いに来た社員さんを「オレの社員」と紹介するなど、「オレの」という言葉が多かった。

僕は、その言葉を聞き怖くなりました。
父が「オレの」と言っている全ては、2ヶ月後には何一つ父のものではなくなるのですから。

12月の中旬になると、父から「オレの」という言葉が減りました。
その代わり、思い出話をするようになりました。

万年人手不足な上に、父が活躍した時代は高度経済成長期だったので、新聞配達員の確保にはとても苦労したそうですが、病床の父は、そんな時代を回顧し「社員と一致団結して乗り越えた」と幸せそうに話してくれました。

新聞店は休みがない商売なので、家族旅行は数回しか行ったことがありませんが、僕が高校生の時に行った伊勢志摩旅行のことを懐かしそうに話しました。
「今日くらい贅沢してもバチは当たらない」と言い、部屋にマッサージを呼びました。施術師が「肩がもの凄くこっていますよ。カチカチです」と驚くの聞き、父の苦労が分かり、感謝の気持ちが込み上げてきたことを覚えています。

僕は、父の最期の半年間に、本当に大切なものが何であるかを学んだのだと思います。

父が他界してから12年ほど経った夏に、僕は師匠と軽井沢で合宿をしました。
脳裏に思い浮かぶイメージから自分の価値観や思想を探る、少し怪しいワークをやりました。

ワーク中に僕が観たものは、月明かりに照らされた黒い森の上空を飛ぶサンタクロースでした。
森の中を流れる大きな川があり、月が輝いています。
静まり返った真っ黒な森の上空をトナカイに引かれて空を飛ぶサンタクロースが浮かびました。

その時は、これが意味するものが分からなかったのですが、ある年のクリスマスイブに、突然、インスピレーションが降りてきました。

サンタクロースは「世界中の子どもたちに幸せを」というミッションを持ち「チームサンタ」として贈与活動をしています。
サンタクロースは、トナカイをグイグイ引っ張ることはありません。ミッションに向かい、チームは主体的かつ自律的に活動しています。
鼻が赤いがコンプレックスのトナカイは、サンタクロースに「暗い夜道はピカピカのおまえの鼻が役に立つ」と言われ自分の居場所を感じながら働いている。

僕は、後に、このような組織のあり方に「指示ゼロ経営」と名付け、色んなご縁をいただき、いつしかそれを伝えることがライフワークになりました。

毎年、クリスマスイブは、お墓参りとパーティを同時に行う不思議な日であり、僕が原点に立ち返る大切な日なのです。

皆さまも素敵なイブをお過ごしください!


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