我慢や忍耐よりも効く、人と組織が変わる「新しい快楽主義」

組織が今よりも一段レベルアップするためには、避けては通れない課題というものがあります。
組織のステージにより課題は変わりますが、初期のステージでは、「社員が自ら考え行動する」という課題があります。

企業の創業期は、創業者の思いをエネルギーに一気に離陸する段階です。その時はワンマン経営の方が上手くいきます。

しかし、その状態のまま企業規模が大きくなり社員数が増えると、社長はものすごく忙しくなります。
社員は、自分で判断できないことを全部、社長に聞くので、社長はいつも会社にいなければなりません。外出しても携帯電話が頻繁に鳴ります。

対応が後手に回り、社内は未解決の問題で溢れかえりますし、社長は本来の仕事ができなくなります。

要するに、社員に任せなければならないというわけですが、ここに「見えない課題」があります。

ワンマン経営のコミュニケーションは、指示と報告で成り立ちます。
リーダーが指示し、部下が実行しリーダーに報告するという単純なコミュニケーションです。

それが、社員が自ら考え行動するフェーズになると、理念や方針、ビジョンの共通が必須になり、そのためには「対話」を重ねるが必要になります。
充実した対話を行うためには、リーダーとメンバー双方に行動の変容が求められます。

メンバー:ちゃんと自分の意見を言う。
リーダー:ちゃんとメンバーの意見を聞く。

という変容です。
これらは、文字にすると簡単に思えますが、実際にやってみると難しいものです。

変容が難しいのは「変容しない方が楽」だからです。
メンバーは、自分で考えなくて良いし、リーダーは自分が支配者でいられるからです。
楽を叶えるための極めて合理的な行動なのだから、変わるはずがありませんね。

「変容しない方が楽」を「変容した方が心地よい」に変えない限り、何も変わらないということになります。

一般的に、変容には我慢や忍耐が必要と思われていますが、我慢では行動は変わりません。

英国の哲学者であるケイト・ソパーは、エシカル消費が広がった背景には「その方がかっこいい」という意識の変化があったことを突き止め、それを「新しい快楽主義」という概念で整理しました。

リーダーに忖度せず、自分の意見を言う方がかっこいい。
メンバーの意見に耳を傾けるリーダーはかっこいい。
そんな新しい心地よさがイメージできると、行動変容に一歩近づくと思います。

そして、決定打は「実際にやってみたら本当に心地よかった」という実体験です。記憶の上書きをすることで、固定観念が変わります。

心地よさを確かなものにするために、日々、仲間を観察して、行動が変わった人に「変わったね」と称賛のメッセージをプレゼントすることが有効です。

我慢のダイエットが3日坊主で終わるように、我慢や抑制はサステナブルではありません。
行動変容には「新しい快楽」が必要だと考えます。

このことは、色んな分野に応用ができますので、是非、お試しあれ。

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