仕事の難易度をコントロールすれば社員の自発性は高まる

「最近の若いものは自発性がない」という相談を時々受けますが、このことを大先輩に話したら、この議論は大先輩が若い頃からあったそうですし、「最近の若いもんは」という言葉は、古代の壁画にも刻まれているとか。

これが本当だとすると、若者は劣化し続けているはずですが、そんなことはありません。
若者というものは、いつの時代も頼りなく見えるということだけだと思います。

そもそも、自発性が欠如していると感じるのならば、別の原因を疑うべきだと思います。

疑うべきは2つのポイントです。

1、取り組みの意義が分からない。
2、難易度が高すぎる。

1に関しては、出世や賃金がモチベーションにならない人が増えていることを見ると分かります。
日本は、賃金が上がらないなどの問題は抱えていても、世界でも最も物質的な豊かさを享受できている国です。
「断捨離」という言葉は2010年の流行語に選ばれ、その後関連書籍が多く出版されたことは、現代人はモノが多すぎることが悩みになっている証左と言えるでしょう。

そんな時代に、以前の論理…「頑張れば豊かになれる」がモチベーションにならないのは自明のことです。

今、社員が高い自発性を発揮している企業は、例外なく仕事の意義が共有されていますし、社内で意義について話し合う時間がしっかりと確保されています。

さて、今日の記事では2の「難易度が高すぎる」について考えたいと思います。
ここで参考にする知見は、僕が大好きなミハイ・チクセントミハイのフロー理論です。
チクセントミハイは、挑戦レベルと実力レベルにより、仕事に対する心理状態が変わることを明らかにしました。

実力がないのに難しい課題を与えると強いストレスになるし、実力に対しあまりにも簡単な課題を与えると退屈します。

適正なポイントは「覚醒」「フロー」の領域…ちょっと背伸びをすれば達成できそうな難易度ということになります。
その取組に意義を感じていたら完璧です。

とは言っても、社員の実力に合わせて仕事の難易度を決めるなんてことはできません。
社員の実力がどうであれ、経営としてやるべきことがありますからね。
そこで求められるのが「難易度のコントロール」です。

例えば、「売上高を1.2倍にするにはどうすれば良いか?」という課題では、まだ実力がついていない社員には難易度が高くストレスがかかります。
それを、売上高を1.2倍にするための要件…例えば、「地域に自社の存在を知ってもらう」といった要件に分解すれば、難易度が下がり、ちょっと頑張ればできそうな気がしますね。

こうすれば経営課題を変えずに、難易度をコントロールすることができるというわけです。
そして、ちょっと背伸びをして頑張っているうちに、実力が付きますので、より高い難易度の課題への挑戦が心地よくなります。

ちなみに、僕は、新聞店の経営者時代に、まだ十分に実力がついていない社員に「新規事業の開発」と言う、超難しい課題を与えて、社内をストレスの巣窟にしてしまったことがあります。

社員に、仕事に愉しく挑戦して欲しいと思うなら、難易度のコントロールは必須の技術です。
「若いもんは」と言う前に考えるべき配慮だと思います。
.
.


『新年、および新年度(4月)を最高の気持ちでスタートするために』

決起大会や経営計画説明会で、指示ゼロ経営の講演会を企画しませんか。米澤晋也が御社に伺い、一生懸命お伝えします。

・自分たちで課題を見つけ、知恵を出し合い、役割分担を決め行動し解決する必要性と愉しさが分かる。
・リアルな事例から学ぶことで「自分たちにもできる」という気持ちになり行動意欲が高まる。

聞くだけの講演ではなく、体験ワークと対話を交え進めますので、夢中で受講していただけます。