働く喜びを、社員成長の持続可能な駆動力にする経営
そもそも商いは、お客様に喜ばれるから成り立つ営みですから、今、会社が存続しているのは、顧客の役に立つ商いをしている証拠と言えます。
そして、人は、他者の役に立つことに意義を感じる生き物ですので、商いは原理上、人を自発的にさせるはずです。
にも関わらず、自発的になれないとすれば、「誰かの役に立っている実感が持てない」という可能性を疑うべきと考えます。
その原因は2つ。
「分業化された一部分をやらされており、自分が、誰にどう貢献しているかが分からない」
「顧客の声が届かない」
この2つを改善すると、自発性は相当に高まるはずです。
そして、ビジネスが進化する可能性も秘めています。
僕は、このことを、新聞販売店経営から体験的に理解することになりました。
当社では、伝統的に、新聞配達の作業を分業化せず「ひとしごと」やってもらっていました。
新聞配達の作業は次の3つの工程で成り立ちます。
①新聞にチラシを入れる。
②数種類ある新聞の銘柄を配達順に組み合わせる。
③配達する。
通常は、これらが分業化されていますが、当社は1人の配達員が丸ごと担当します。
こうして「ひとしごと」担当し、お客様に喜ばれた時の喜びはひとしおです。
と言っても、早朝の業務なので、お客様と接する機会はほとんどありません。そこで、毎月発行している手作り新聞で、お客様の声を集めるようにしました。
集まる声は喜びだけでなく、時に苦情も来ますが、「ひとしごと」担当した社員は、苦情を自分事と受け止め再発防止を真剣に考えます。
この伝統は、お客様や地域社会との絆を深め、経営全般に好影響を及ぼしました。
特に、営業分野です。
御存知の通り、新聞の営業は乱暴です。
「奥さん、契約するまで帰らないよ」という、非道な営業がまかり通った時期が長く続きました。
「新聞はエリートが作ってヤクザが売る」なんて言われ、新聞店の現場で働く人の誇りと働き甲斐は著しく毀損されました。
やがて、その影響で、各家庭にインターンが普及し、営業パーソンは冷たく門前払いをされるようになります。
そこで、キャンペーンの紹介などという口実で訪問しますが、そんな姑息な方法が通用するはずはありません。
営業社員のモチベーションは壊滅的に低下しました。
当社では、すでに地域社会との絆ができていたので、そんな無礼な営業はできるはずはなく、まったく別のアプローチを取ってきました。
「新聞紙でつくるエコバック教室」「古新聞を回収しリサイクルし、その収益金で講演会などを開催する」「お子さんやペットの写真でオリジナルカレンダーをつくる」
どれも、すぐには売上を生まない取り組みです。
これらのアイデアはすべて社員が0から作り上げます。
社員は、喜ばれる愉しさを覚えると、自発的に色んな企画を立案するようになりました。
やがて、お客様との関係性が深まると、お客様から生活に関する相談を受けるようになりました。
今では、その解決のお手伝いをする事業が、当社の収益の柱の1つになっています。
僕が一連の活動から気づいたことは次の2つです。
1、商売は、原理的に人を自発的させる。
2、喜ばれる行為の延長に、新しい事業が展開される。
こじょ2つの要件を組織にインストールすると、無理のない持続可能な経営が実現することになります。
一朝一夕に実現するものではありませんが、確実な繁栄の道だと思います。
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