これからはJAZZのような経営が上手くいく
僕は、指示ゼロ経営のあり方をJAZZのジャムセッション(即興演奏)に例えて説明することがあります。
ジャムセッションには楽譜がありません。基本的なベースラインを確認したら、とりあえず演奏し、演奏しながら合わせていくのです。
各プレーヤーは仲間の出す音に耳を傾けインスピレーションを受け、その場で自分の出す音を決めます。
なので、最初のうちは息が合わないのですが、徐々に音に立体感が出てきて、ある時、鳥肌もののグルーブを醸し出すのです。
経営における事業計画の進め方とはまったくスタイルが違いますね。
従来、計画は綿密で、計画通りに事を進めるべきと考えられてきました。しかし、正解のない時代、変化が激しい時代を迎え、予定調和が通用しなくなりました。
そこで臨機応変性の高い自律型組織が注目されるようになりました。
スタンフォード大学のキャスリーン・アイゼンハートは、世界中のコンピューターメーカーを調査し、最もイノベーティブな成果を上げた組織の特徴として「計画段階にかける時間が少なく、実施段階における時間が多い」ということを明らかにしました。
大まかな計画を立てたら、できるだけ早く実行に移し、実行しながら計画を組み立てていくという進め方をしていたのです。
つまり、PDCAの回し方が違うのです。
僕はPDCAを「PDS」=Plan(計画)Do(実行)See(検証)の3つに短縮して説明していますので、ここから先は「PDS」とします。
従来は、みんなで知恵を出しP(計画)を立て、役割分担を決めD(実行)をします。その後、例えば1ヶ月後に会議を開き、そこでS(検証)をするという進め方が一般的でした。
しかし、それでは遅いのです。
Pしたら、日々DをしながらSをし、Pを改善していくという、PDSが渾然一体とした「アジャイル的な」進め方をします。
アジャイル的な進め方は、メンバーの学習効果も飛躍的に高めます。
メンバーが自律的にPDSを回していくと、今の自分たちの知識・スキルで立ち行かないことをリアルに痛感することがあります。
その時は落胆するのですが、気持ちが落ち着くと、落胆は学習意欲に急変します。その意欲たるや、サウナの後の渇望のごとく強烈です。
学習機会が与えられると、スポンジが水を吸うように、ものすごい勢いで学習するのです。
ジャムセッションのような進め方は、平均台の上をバランスを取りながら歩くような不安定さがあり、心もとなく見えますが、実は「動的平衡」という最もしなやかなあり方なのです。
自分たちで課題を見つけ、みんなの知恵と協働でアジャイル的にPDSを回し続けるのが、指示ゼロ経営が提唱するプロジェクト”セルフ”マネジメントということになります。
僕が、これからはJAZZのような経営が上手くいくと考えるのは、こうした理由からなのです。