「ビジネスに感情を持ち込むな」の間違いについて
「ビジネスに感情を持ち込むな」という人がいますが、その考え方は非合脳的…脳の機能的に間違っています。
その理由は、モチベーションは感情だからです。感情を封印することはモチベーションを封印することを意味します。
モチベーションは、大脳辺縁系という情動を司る部位でつくられます。社員がヤル気になるのも、顧客が商品を欲しがるのも、大脳辺縁系が関与しているのです。
感情を抜きにしてビジネスは成り立たないということになります。
「感情を持ち込むな」と言う人は、怒りや妬み、憎しみなど、負の感情を持ち込むなと言いたいのだと思いますが、負と正を判断しているのは、大脳新皮質という言語や計算、論理を司る部位です。
情動に良いも悪いも、区別はありません。
つい、私たちは自分の色メガネで良し悪しを判断してしまいます。
例えば、ある農家に「人間は、害虫、益虫、普通の虫」と、人間の都合でレッテルを貼るが、自然界にそんな区分はない」と僕に教えてくれました。
自然農法に成功すると、色んな生物が作用し合う、最適な生態系が醸成され、その中で作物が育つと言います。
感情も同じで、色んな感情があっても、組織全体として健全な生態系をキープすることができると考えます。
とは言っても、感情を否定する人の気持ちも分からないわけではありません。
感情の否定は、トップダウン組織で行われる傾向があります。
それもそのはずで、感情をあらわにしていたら、指示命令系統が不全に陥るからです。
上司に指示命令をされたら、腹が立とうが泣きたくなろうが、感情を殺し「はい」と言えないとトップダウン組織は維持できないのです。
しかし、押し殺した感情は、心の奥底にある、感情を貯めるコップに溜まっていきます。そして、ある時、堰を切ったように一気に溢れ出します。
あるいは、自分よりも弱い立場の人間に、少しずつ吐き出す人もいます。
感情を吐き出された人も、同じように感情を溜め込むので、組織内に鬱憤が蓄積していくのです。
お店や会社に訪問した時に「なんか変な空気が漂っているなぁ」と感じた経験があると思いますが、きっと職場全体に鬱憤が溜まっているのでしょう。
一方、健全な組織には「小さなイザコザ」があり、感情が溜まる前に放出しています。
イザコザがあるということは、一方的な指示命令ではなく、自分の意見が言える場と関係性がある、つまり対話があるということです。
自分の情動をキャッチし、適度に放出していればモチベーションの発動は邪魔されません。
そして、優れた組織は、小さなイザコザで生まれた1人1人のエネルギーを結集する技術を持っています。
その方法に関しては、別の機会に触れたいと思います。
社員がヤル気になるのも、顧客が買い物をするのも、そこには情動が存在しますので、情動を制する者がビジネスを制すると言っても過言ではないと思います。
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