柔軟に変われる組織になりたければ「変わらないもの」を軸に持て

世の中には、時代の変化とともに変わる組織と、まったく変われない組織があります。
当然、前者しか生き残れないのですが、その違いはどこにあるのでしょうか。

僕はずっと「変わり方」に秘訣があると考えてきましたが、実は、「変わらないもの」を持っている組織が変わることができるということを知りました。

京都大学の元教授である中西輝政氏は「なぜ日本人は、かくも海外の文化を受け入れ、変わることができるのか?」という問いに対し、「それは変わらないものを持っているから」と答えています。

変わらないものとは、企業で言えば文化…「らしさ」ということになると思います。
「らしさ」がベースにあるから、その上に挑戦的な取り組みを乗せることができるということです。

Francfrancの創業者、高島郁夫氏が2008年に出版した著書「フランフランを経営しながら考えたこと」にも、同じことが書いてありました。
当時、Francfrancでは、顧客の来店頻度に合わせ、2週間に1度、お店のレイアウトを変えていましたが、それができたのは「変わらないもの」を設定していたからだと言います。
それが「都内在住の25歳のA子さん」という、「これぞ自社の顧客」というをペルソナ(人物像)です。
A子さんのライフスタイルを体現したものがお店であり、ライフスタイル周辺のアイテムを売っているというわけです。

変わらない軸があるから、社員は自ら判断し行動することができ、大胆に変えることができるということです。

例えるならば、日本人の食卓には、ご飯と味噌汁という、変わらないメニューがあるから、おかずはユニークなものに挑戦できるし、レパートリーも多く持つことができるのだと思います。

変わることができる組織には、メンバー間に「らしさ」が共有されています。しかし、それは非常に抽象的・感性的な事柄なので、一筋縄ではいきません。

どうすれば「らしさ」は共有することができるのでしょうか。

僕が企業研修で活用し、最も成果を上げている方法は、神学の世界で活用されている「らしくない」から「らしさ」を浮き彫りにする方法です。
人間が「神とは何ぞや」を理解するのは不可能なほどに困難ですが、「これは神ではない」という要件は数多く挙げることができます。これを繰り返すと、おぼろげながらに神という存在が立体的に浮かび上がってくるのです。

浮き彫りになるまでには量稽古が必要ですが、積み重ねると必ず「らしさ」が立ち現れてきます。

メンバー間に「らしさ」が共有されると、社員はそれに基づき、自発的に行動するようになります。
自律型組織を目指すならば、避けては通れないプロセスですので、早く取り組むことと、定期的に実践することをおすすめします。


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