「愉しい」を創る、お遍路システムというテクニック

世に中には面白い仕事と、退屈な仕事があるのは事実ですが、どんな仕事でも工夫次第で愉しくすることができると考えています。

今日の記事でご紹介するのは「お遍路システム」というテクニックで、お遍路のように、何十箇所かを廻ると成長するという、物語性を取り入れた手法です。

このことを、面白いかどうかだけで評価されるゲームの世界を参考に紐解いてみたいと思います。

まずは1978年に登場したインベーダーゲームで考えてみましょう。
あのゲームは、ひたすら迫ってくるエイリアンをやっつけるというゲームです。プレーヤーは左右にしか動けず、非常にじれったい思いをします。

エイリアンを全滅させ、次のステージに進むと、またずらっとエイリアンが並んでいます。
まさに無限地獄です。

このゲームを続けるモチベーションは「得点」と「クリアした面数」です。

これを仕事に当てはめると、降りてくるタスクを、裁量が少ない中で、日々こなすということになると思います。
モチベーションは賃金(得点)と出世(クリアした面数)です。

賃金と出世で釣る方法は、一通りの豊かさを手にした現代人には通用しません。
インベーダーゲームのような仕事では、モチベーションは維持できないのです。

さて、ゲームの革命と言えば、スーパーマリオブラザーズです。
「ピーチ姫を助けるというミッションを達成する冒険」という設定があり、夢中になった人が多いのではないでしょうか。このゲームにも、一応、得点はあるのですが、まったく気にならずプレイに没入できます。

このゲームには、ステージが8個ほどあり、1つ1つのステージをクリアすることを短期目標にできるので、長い冒険に対する心理的負担は軽くなります。

冒険ゲームを仕事に応用すると次のような要点が浮き彫りになります。

「ミッションに向けた冒険という設定があり、冒険の通過地点(マイルストーン)を踏みながら進んでいく」

僕が、お遍路システムを初めて導入したのは、実は、ビジネスではなく教育の現場です。
ある中学校から、学習の習慣化に関する相談を受けました。その学校では、毎日、家庭で取り組むプリントを宿題として出しているのですが、まあ、遊び盛りの中学生がこれを習慣にするのは容易なことではありません。

そこで、「宿題を積み重ねた先に、人生が開ける」という擬似的な冒険を設定しました。
すごろくのようなシートをつくり、途中に「高校入学」「高体連優勝」などのマイルストーンを置き、プリントを2週間提出するたびに、1個「よくできましたスタンプ」を押します。
その積み重ねが人生を切り開くというイメージをつくったのです。

この工夫に加え、1つ1つのマイルストーンに到達すると、クラスの仲間から祝福される工夫をしたところ、多くの生徒がプリント課題に継続して取り組んでくれました。

その結果、翌年に実施された全国学力テストでは、県内でトップクラスの好成績を収めることに成功しました。

いかがでしょうか。
あなたの職場で、同じようなゲーム性を再現することはできないでしょうか。

「そんな子ども騙しみたいなことを」と思われるかもしれませんが、そんな方のために、最後にウォルト・ディズニーの言葉を紹介します。

「人はいつから子どもでなくなるのか?」「どんな洗練された大人の中にも,外に出たくてしょうがない小さな子どもがいる」


【残席2となりました】指示ゼロ経営マスタープログラム11期
本日の記事の内容=プロジェクトマネジメントを学びます。
・全員参加のプロジェクトの組み立て方
・自発的、継続的にPDCAを回すための仕組み
・プロジェクトを3日坊主で終わらせない仕組み
年内最後の開催です。