解雇規制緩和の時代に繁栄する「逆張り」の経営

自民党総裁選の際に、何人かの議員が「解雇規制の緩和」について言及しましたね。
急に話題になって驚いた人も多かったと思いますが、実は、布石は2019年に打たれていました。
当時の経団連会長である中西宏明氏は、明確に「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と述べています。

日本経済新聞の調査によると、解雇規制緩和について、およそ4割の人が賛成を表明しています。
もう潮目が変わったと考えて良いでしょう。

この流れを受け、「ダメ社員を辞めさせやすくなった」と喜んでいる経営者がいますが、事はそんなに単純ではありません。
働く人にとっても再就職がしやすくなるので、ダメ社長のもとから人材が流出することになるのです。

経営者、働く側、双方にとって努力が求められることになりますが、経営者が最も努力すべきは人材育成だと考えます。

「労働力が流動化するのならば採用に力を入れるべき」と考える経営者がいますが、そもそも、優れた人材に選ばれる企業になることなしに、採用を強化しても効果はありません。

採用に力を入れる世間の潮流とは逆を行く…逆張りをするということです。

中には、人材育成に力を入れたら「せっかく育てた人材を他社に持っていかれる」と考える経営者がいますが、そんなことはありません。

厚生労働省の調査「転職者実態調査の概況」によると、転職者が前職を辞めた理由の、男性の回答のトップは「会社の将来に不安を感じたから」でした。
自分を育ててくれる会社にはロイヤリティを持ちますし、人材力の高い企業は、繁栄の可能性がある有望株ですので、簡単には流出しないでしょう。

逆張りは、人材育成の内容に関しても同様です。
多くの人が、「すぐに使えるノウハウ」を求めますが、労働力が流動化する時代において力を入れるべきは「すぐには使えないノウハウ」です。

ノウハウには3種類あります。

1、その会社だけで通用するノウハウ
2、その業界だけで通用するノウハウ
3、業界を超えて通用する汎用性の高いノウハウ

1から3の順に、「すぐに効果が出ない」という事になります。
3が最も習得に時間がかかりますが、3がなければ、2も1も活かすことはできません。
野球チームで例えるなら、どんなに優れたバッティングやピッチングのスキルがあっても、人間関係やチームワーク、試合の進め方が悪ければ勝てませんからね。

労働力が流動化する時代に優先すべきは「内部の充実」です。

婚活に例えるならば、出会いを求めパーティに行っていないで、まずは自分を磨こうということではないでしょうか。


【残席2となりました】
「指示ゼロ経営マスタープログラム11期 」募集中
本日の記事の内容=プロジェクトマネジメントを学びます。
・全員参加のプロジェクトの組み立て方
・自発的、継続的にPDCAを回すための仕組み
・プロジェクトを3日坊主で終わらせない仕組み
年内最後の開催です。