相手の「恐れ」を知ることが、人間関係の達人になる近道

社内に、人を悲しませたり傷つけたりする行為をする人がいた場合、当人を注意したり叱ったりしても問題が解決するとは限りません。むしろ問題が悪化する危険性さえあります。

それよりも、その人の行為の背景にある感情を理解することが大切だと考えます。
人は、むやみに他人を傷つけたりはしません。
負の行為の背景には、たった1つの感情が渦巻いています。

それは「恐れ」です。

相手が恐れているものが分かると冷静に対応することができます。

実例を引くと分かりやすいと思います。
ある企業では、普段から社長と社員の1対1の面談を行っていました。
しかし、ある時から、どうも面談に乗り気ではない社員が出始めたのです。気になった社長が調べてみると、彼らの直属の上司が黒幕である可能性が浮上しました。その上司が、部下に対し社長を辛辣に批判しているという噂をキャッチしたのです。社長は「きっと上司に感化され自分を嫌いになった」と考えたのです。

社長は、この件をキッカケに、この上司を避けるようになりました。すると、さらに社員(彼の部下)との溝が広がりました。

僕が社長から本件を相談された時には、僕はすでに知っていました。なぜなら上司からも相談を受けていたからです。

一体、この会社で何が起きていたのでしょうか。
この不条理は、登場人物が抱いている恐れを知ることで紐解くことができます。

「部下の恐れ」
実は、部下は社長との面談を大切にしていました。しかし、社長を嫌う直属の上司の手前、やりづらい。部下の方に聞いたら「直属の上司に”お前はどちら派なんだ?”と言われそうな気がして怖い」と言っていました。別に、社長が嫌いなわけではないのです。

「上司の恐れ」
僕への相談の中で、上司は、以前に社長から「”成果を出せない人間に居場所はない”と言われた」と言っていました。この恐れから、部下を味方につけようとしていたのです。味方をつくる手っ取り早い方法は「共通の敵を設定すること」です。

「社長の恐れ」
「社員が上司派に流れてしまうのでは?」という恐れから、自分の味方をつけようと個別面談の回数を増やしました。しかし、それを見た上司は恐れを感じ、自分の味方をつくることに躍起になり、社長と上司の溝は広がるばかります。

悪循環が起きていることが分かりますね。
この関係は、循環するほどに恐れが増大し、やがて修復不能になります。

悪循環を断ち切れるとしたら、早い段階で「恐れの構造」を理解することです。例えば、「社員は自分を嫌っているのではなく、上司を前に恐れを感じ面談に積極的になれない」と知れば、冷静になり行動を抑制することができます。

他にも、「上司は、恐れから自分の味方を増やそうとしている」と分かれば、それを阻止するのではなく、上司に過去に自分がした言動を謝るなどといったオプションを持つことができます。

そして…
他者のこともちろんですが、何よりも、自分の恐れを理解することが最も大切だと考えます。
内省することで、自分の負の感情の背景にある恐れが観えてきます。そのカラクリが分かると恐れは軽減すると思います。

実は、今日、紹介した企業の社長は、自分でも気づいていない「真の恐れ」があります。
それが何であるかは、ご自身で想像してみてください。

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