高く飛ぶには一旦しゃがめ。遠くに飛ぶには一旦下がれ。

先日、ラジオから「高く飛ぶには一旦しゃがめ」「遠くに飛ぶには一旦下がれ」という言葉が耳に入ってきました。立っていられないほど落ち込んだ時も、怖くて後退りしたくなる時も、それは飛躍の一歩手前だよということです。

これは組織づくりや人材育成にも言えるなと思い記事を書くことにしました。

「高く飛ぶには一旦しゃがめ」というのは、組織づくりに当てはまります。
優れた組織は、成長の過程で必ずと言っていいほど、一旦しゃがむ時期を経験するのです。
どういうことでしょうか。

組織には4つの状態があります。

「独裁状態」…意思決定が、リーダーもしくは一部の人に限定されている状態
「村社会状態」…互いの顔色をうかがい、当たり障りのない議論しかできない状態
「混沌状態」…独裁状態・村社会状態から脱し自由に発言ができるが、それ故に混沌とする状態
「創発状態」…ワイワイガヤガヤと対話をしているうちに、アイデアがアイデアを呼ぶ状態

優れた組織が、一旦しゃがむというのは「混沌状態」を意味します。
この時期には、組織風土や自社の存在意義、自社らしさといった抽象的な事柄が醸成されます。抽象的な事象は情報量がものすごく多いので、対話に対話を重ねることでしか、その姿は観えてきません。それは彫刻のような作業で、削ったり付け加えたりしながら、徐々に姿が立ち現れてくるのです。

この時期は生産性が低いのですが、まさに、飛躍のためにしゃがんでいる状態で、混沌が深いほど、後で躍進します。

次に「遠くに飛ぶには一旦下がれ」について。
いったん下がるというのは助走をつけるということですが、これはスランプから脱するのに有効な方法です。

世界的なバイオリニストやアーティストを輩出している「スズキ・メソード」がこの方法を採用しています。
スズキ・メソードの驚くべき教育法に関してはこちらの記事をお読みください。
「私たちが日本語をマスターした過程を人材育成に応用すれば、どんな人もが育つ」

記事中でも紹介していますが、最初に与えられる課題曲は「キラキラ星」です。曲をマスターしたら次の課題曲に進み、徐々に難易度が高くなっていいきます。

どんな人でも、成長の途中でスランプに陥りますが、その時には、一旦、課題曲を2つか3つ戻してから再度、前に進みます。
すると、あれほど苦慮した曲を突破することができるのです。

これを職場で応用すると、どんなことができるでしょうか。
一旦、部長から課長に降格させる…嘘です(笑)

後輩の指導にあたるという方法があります。あるいは、以前に学んだことを復習するという方法も有効です。
人は、物事に熟達すると、「知っていることを知らない」という状態に陥ります。あれこれ考えなくても出来るマスタリーの境地です。この時のスランプは厄介で、なぜスランプに陥っているのかが分からないのです。
そんな時は、他者に教える、あるいは学び直しをすると、自分が何を知っているかを再確認することができるのです。

「高く飛ぶには一旦しゃがめ」
「遠くに飛ぶには一旦下がれ」

人と組織が育てば、企業は相当な場所にまで到達できると思います。
あなたの職場でどんな応用ができるか、考えてみてはいかがでしょうか。


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