高次のモチベーションを喚起する「その先に?」という問い
顧客がものを買うのも、社員がヤル気になるのも、そこには必ず「欲しい」とか「やってみたい」という感情のゆらぎ…「その気になる」ということが起きています。
感情のゆらぎがないところに行動は起きませんので、その気をつくる技術は、経営にとってイロハの「イ」ともいうべき基本と考えます。
その気をつくる技術は昔から研究が進んでいて、書店に行けば誰でも買うことができます。
販促の世界で最も活用されているものとしては、「モノではなくコトを」という考え方です。
顧客は、モノではなく、モノを通じてられるコトが欲しいということ、例えば、風邪薬ではなく、それを飲むことで「今日一日、仕事を乗り切る」というコトが欲しいということです。
他にも、サイモン・シネックが提唱する「ゴールデンサークル」も素晴らしい。
「Why」「How」「What」の3重円で表現したシンプルな成功法則です。
サイモン・シネックはこの中で、Whyが最も重要と説きます。
風邪薬で言えば、Whatは成分などの特徴に、Howは用法にあたり、Whyは「なぜ、その風邪薬を飲まなきゃいけないのか?」の問いへの回答になります。つまり「今日一日、仕事を乗り切れるから」ということです。
これらの知識を基礎にし、僕は、さらに有効な思考法があることを知りました。それを教えてくれたのはコンサルタントでもなければ学者でもなく、ある理学療法士です。
理学療法士は、患者のリハビリテーションを支援します。彼は、非常に腕が良く、怪我などで腕が上がらなくなった人でも彼の手にかかれば解決します。
このことを「モノではなくコトを」の概念にはめれば、リハビリのプログラムというモノではなく「腕が上がるようになる」というコトを提供しているいうことになります。
「ゴールデンサークル」に当てはめれば、なぜ?と問われれば「腕が上がるようになるから」ということになります。
しかし、彼はこう答えました。
「例えば、好きなスポーツができるようになる」
腕が上がった「その先」に訪れる体験を意識して患者に向き合っているのです。
彼は、さらに「その先」について語りました。
「例えば、健康になる」
「友人や家族とスポーツを楽しみ、良い人間関係をつくることができる」
「良い思い出をつくることができる」
目の前の患者の趣味や人間関係などを知ると、その先に実現するであろう、真の望みが観えます。
これが彼が患者から選ばれる理由ですが、同時に、彼自信のモチベーションを支える、仕事の誇りになっているのです。
「腕が上がる」というのも、ちゃんとWhyに答えていますが、これだけでは十分な「その気」は生まれないと思います。
その先に訪れる世界
その先に体験できること
自社の商品を使った、その先にどんな世界が拓けるのか?
自社が成功し業績を上げた先に、社員はどんな体験ができるのか?
「その先」にこそ真理があると思います。
では、「その先に」を繰り返すと、最終的にどこに行き着くのでしょうか?
おそらく、それが「経営理念」になるのではないでしょうか?
※「その先」が組織の求心力になり、社員の自発性を高めます。
「指示ゼロ経営マスタープログラム11期 」募集中
・自発性を支える求心力のつくり方
・全員参加のプロジェクトの組み立て方
・組織内に自発的な行動が伝播する仕組など。