「馬鹿とハサミは使いよう」の馬鹿は、実は使い手(上司)という話
僕はこれまで、部下に対し「使えないやつだ」と罵倒する上司を何人か見てきました。
「どうしてこんな普通のこともできないの?」と叱責され、悲しむ部下も見てきました。
その部下は、本当に使えない人なのでしょうか?
この事を、「馬鹿と鋏(はさみ)は使いよう」の諺を例え話に考察したいと思います。
この諺は、鋏は使い方によって切れたり切れなかったりすることから、愚か者も使い方次第で役に立つという意味で使われています。
例え話では、この解釈を少し変えたいと思います。
まずは鋏の種類を増やしましょう。
鋏には、剪定用、散髪用、木工用、皮切り用、爪切用、鼻毛切り用と多種多様です。
鋏は、人が持つ知能の種類の豊富さを表しています。
ハーバード大学のハワード・ガードナー教授が提唱する「多重知能理論」によると、知能には8種類あると言います。
1、論理・数学的知能
2、言語的知能
3、運動感覚的知能
4、音楽的知能
5、空間的知能
6、対人的知能
7、博物学的知能
8、内省的知能
分かりづらい項目を説明しますと「博物学的知能」とは、動植物などの観察や分類を得意とするタイプ、「内省的知能」とは、内省することが得意な人を指します。
部下に対し「使えないやつだ」と言っている上司は、剪定バサミで鼻毛を切ろうとしているのかもしれまん。
「なんだこのハサミは。図体ばかりデカくて使えないやつだ。まったく切れないじゃないか。鼻の中を怪我してしまう」
剪定バサミを鼻に突っ込みながら文句を言っている姿を想像すると、滑稽を超えて不気味です。
これまで知能は「論理・数学的知能」と「言語的知能」に偏っていました。
私たちが「頭の良い人」と呼ぶ人は、大抵この2つに長けた人ですよね。
「たくさん作ってたくさん売る」成長期では1と2の知能が重宝され、それを持っていない部下が「使えない」と低く評価されました。 あるいは「対人的知能」を偏って重視する人もいます。だからこそ「コミュ障」という言葉が生まれるのだと思います。
今は、多種多様なハサミを使いこなす能力がリーダーには求められます。
三流は、部下が3〜8の能力を持っているにも関わらず、自分の色メガネを通してしか相手を見れずに「こいつは使えないやつ」と切り捨てます。または、「馬鹿とハサミは使いよう」と言い、一生懸命に使おうとしますが、知能のタイプを知らないので使いこなせません。実は馬鹿なのは自分であることに気づいていないのです。
二流は、複数の知能を組み合わせ適材適所をつくることができます。
一流は、上司が部下を使うという発想ではなく、多様な知能を持った人たちが自律的に共創・協働するような場をつくります。
是非、指示ゼロ経営を目指すリーダーは、知能には多様性があるという事実を社内で共有して欲しいと思います。
人それぞれということを知るだけで、違いを受け入れられるようになります。
そうなると、自分の知能に誇りを持ち、もっと知能を発揮したいと思うようになります。
自ら望んだ人は、本当に素晴らしく成長しますよ。
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