大事な話ほど、1対1ではなくオープンな場で伝えるべき理由

方針やビジョンなど、全員で共有する必要がある大事な話を、部下との1対1の面談で伝えるリーダーが多いと思いますが、僕は、そういう話ほど、みんながいる「オープンな場」で行うべきだと考えています。

その理由は、閉じた場で伝えると十分なコミュニケーションが取れずに、理解不足や誤解を生む危険性があるからです。

「え?1対1で伝えた方がコミュニケーションができるのでは?」と思うかも知れませんが、逆なのです。

その理由を説明する前に、リーダーが1対1で伝えたがる心理を確認する必要があります。
それは「反論や質問が怖い」ということではないでしょうか。
1対1では、部下は反論はおろか、質問もしづらいものです。
このような不安からオープンな場を避けているのかもしれません。

「別に怖いわけじゃない。何としても納得して欲しいからだ」と言う人もいますが、この方法は、その望むべき納得度を下げることになります。

その理由は、アメリカ国立訓練研究所が提唱する「ラーニング・ピラミッドという概念で整理することができます。この研究によると、学習効果は、学び方により変わることが明らかになっています。

「聞いたことの5%」「読んだことの10%」「視聴覚の20%」「実演を見たことの30%」「対話したことの50%」「実際に体験したことの75%」「他者に教えたことの90%」

この理論に照らし合わせると、質問をしづらい場で伝える弊害が理解できると思います。

部下が言う「はい」は「よく分からないけど、まあいいです」という意味と捉えるべきでしょう。

みんながいるオープンな場で対話をすると、部下の心理的圧迫感は軽くなります。勇気ある1人が質問をすれば、2人目、3人目と続く可能性があります。
リーダーにとっては怖いことですが、十分な理解が得られていない状態でプロジェクトをスタートさせることの方が、よほど恐ろしいことです。

リーダーは、1対1の面談では何も質問をしなかった部下が急変したことに困惑し、裏切られたように感じるかもしれませんが、決して裏切ったわけではありません。
また、質問をされると、反論されているように感じますが、そんなことはありません。

僕は、閉じた場で伝えてきたことで、誤解が生まれ疑心暗鬼が蔓延した組織をいくつも見てきましたが、そのすべてがオープンな場での対話で解決しています。

リーダーが新しい方針やプロジェクトを打ち出した時に、中には「面倒なことはしたくない。現状のままで良い」と言う部下が出る可能性もあります。大人なので、ストレートには言わず、巧みな質問でリーダーの案を否定します。厄介ですが、根気よく対話をすると、実は何も考えずに浅薄な反論をしていることが浮き彫りになります。

中には「どうやってやるんですか?」と聞いてくる部下もいます。しかし、それは、やると決めた後にみんなの知恵で考えることです。

最後に、オープンな場で対話をする最も大切な心得について。
それは…

「みんな会社を良くしようと思っている」という事実です。
組織が上手く機能していないのは、思いはあるがベクトルが集中できていないからです。

ベクトルを集中させるためには「質問ができるオープンな対話の場」の設営が何よりも大切です。

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