ビジネスを、お金のために我慢するものではなく行為自体に愉悦に満ちる営みに
お盆は、日常業務から開放され、事業への想いなど、自分の原点に立ち返ることができます。
先日、お墓参りをしながら、改めて指示ゼロ経営のミッションを確認しました。
『ビジネスを、お金のために我慢するものではなく行為自体に愉悦に満ちる営みに』
ビジネスが人生を費やすに値するものになると、今ある社会課題が解決に向けて動き出す可能性を感じています。
人類は「物質的な欠乏」を解消するために、画一的な生産管理体制を発明し、大量生産・大量消費、大量廃棄の社会を作りました。そこでは、上の者が決めた、分業化された仕事を下のものが遂行するという構図で生産性を高めます。
このシステムは、アダム・スミスが「国富論」の中で指摘したように、創造活動や協働などの働く喜びが毀損されます。アダム・スミスは、もっとストレートに「人間がダメになる」と述べています。
当然、顧客と顔が見える関係は築けず、顧客に感謝される喜びはありませんし、そもそも顧客が感謝の意を伝えることは稀です。
働く人もまた、物質的な欠乏を解消するために我慢して労働に耐えてきました。こうした産業界の要望に応えるように、教育も「基本的な読み書きそろばんができ、従順で我慢できる人」を大量育成してきました。
我慢は、富の分配を妨げます。「自分は我慢したのに、怠けている人に分け与えたくない」と思うのは自然な感情であり、富の格差が広がるのは自明のことだと思います。
もう、モノの欠乏は相当に解消されました。NHKが1973年から行っている、生活満足度に関わる調査によると、ここ50年で、物質的満足度は20ポイントも向上しています。
今、消費も働き方も、人類にとって大きな転換期にきていると思うのです。
指示ゼロ経営は、働く人が「ひとしごと」に関わります。
顧客に喜んでいただくために、みんなで知恵を出し、役割分担を決め主体的に行動します。そこには、創造、協働の充実感があり、個性が活き居場所ができる喜びがあります。
もちろん、責任感と誇りも自然と生まれます。
働く人と顧客が、顔が見える関係になると、顧客は「ひとしごと」がんばる人に対し、惜しみない感謝と応援を贈与するようになります。
見返りを求めず贈与するというのは、古今東西、宗教が目指してきた理想の幸福の形です。
贈与の気持ちを受け取った働く人たちも、それを顧客に返します。
贈与が持続的に循環していくのです。
話は変わりますが、資本主義には「格差が拡大し続ける」という宿命を背負っています。
自助努力で勝ち上がった(と思い込んでいる)人たちは、富の再分配に対し「私は努力して成功したのに、なんで他人に分け与えなければいけないのか?」と反対します。
しかし、マイケル・サンデル氏は、自身の研究知見をもとに、この考え方に真っ向から反論しています。
サンデル氏は、膨大な調査の結果、経済的に豊かな家庭で育った人が高度な教育を受け、高い地位につき高収入を得ている傾向性を明らかにしました。つまり「あなたは運が良いんだよ」ということです。
この恩恵を真に理解すると、受けた恩を、次世代や恵まれない人に向けて恩送りするようになります。
それもまた幸福な心持ちだと思います。
恩を送られた人もまた、その恩を他者に送る「贈与の循環」が起きる社会に進化する可能性があります。
富が循環すれば、食いっぱぐれる危機感が薄れ、「我慢して働く」という意識が変わり可能性があります。
この贈与の循環のために、私たち草の根ができることは、働き方の改革、つまり「ビジネスを、お金のために我慢するものではなく、行為自体に愉悦に満ちる営みに」変えることだと思っています。
そんな営みが増えていけば、社会は今よりも良くなるのではないでしょうか。
というわけで、今日の記事は夢のような話ですが、時代は夢に向かって確実に動き出していると思います。
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