共創は競争の先に実現するもの。
よく「競争ではなく共創の時代になった」と言われますよね。おそらく、2000年を過ぎ、社会が成熟期に入った頃から盛んに聞くようになったと思います。
パイが拡大する時代では、競争の敗者もおこぼれにあずかることができましたが、成熟期ではそうはいかず、命を賭けた戦いになります。
すると共創の機運が高まります。
ドイチェという学者が提唱する「競争と共同」 の概念によると、競争は、一部の人だけが達成できる目標を設定すると起こり、共創は、力を合わせないと達成できない目標設定により必然的に起きると言います。
パイが減るという危機に直面したことで共創の機運が高まったと考えることができます。
もう社内で競い合っている場合ではなく、みんなの知恵で新しい価値を創らなければやっていけません。
しかし、どうも不自由なことが起きていると感じています。「競争を捨て共創を」という考え方では共創を実現することはできないと考えます。
どういうことでしょうか?
神戸大学と中央大学、大阪大学の共同研究「隠れたカリキュラムと社会的選好」によると、運動会のかけっこで「手をつないでゴールする」というような教育を受けると、利他性が低くなる可能性が指摘されています。
そもそも、子どもたちは受験競争を生きています。勉強が苦手な子にとっては、かけっこは自分がヒーローになれる舞台で、そこで存在を認められるから自己効力感が高まり、利他の気持ちが生まれます。
「自分は○○は苦手だが、○○には長けている」という認識と、他者を敬う心を併せ持った時に共創が実現します。
競争と共創は二項対立ではなく、競争を通じて共創が生まれるという構成になっているということです。
僕は何も「まずは競争をさせよう」と言っているわけではありません。
「社員には色んなことを体験させよう」と考えているのです。
そもそも人は、他者と比較をする生き物です。色々と経験する中で自分と他者を比較し、「自分は○○は苦手だが、○○には長けている」という認識を持つことができるのだと思います。
リーダーの役割は「みんなの凸凹を合わせてオリジナルの造形物を創ろう」と共創の機運をつくることではないでしょうか。
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