プロ野球選手に4月生まれが多い理由から人材育成の真髄を問う
任せることで人が育つ。一方で、任すに足る実力があるから任せられるという事実もあります。
「卵が先か鶏が先か?」という議論ですが、はたしてどちらが正解なのでしょうか?
僕は、「任せることで人が育つ」と考えています。
僕が参考にしているのが「マタイ効果」という、社会学の研究知見です。
新約聖書のマタイ福音書にある「おおよそ、持っている人は与えられて、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」という文言に由来します。
これだけ聞くと、身も蓋もない話に聞こえますが、ここに人材育成における、深い洞察を得ることができます。
有名な話に、プロ野球選手には4月や5月といった「年度の早生まれ」が多い」という事実があります。4月から6月生まれは、全体の33%ほどに対し、1月から3月生まれは16%ほどなのです。
これはプロ野球だけではなく、Jリーグ選手にも見られますし、学力に関しても同様の傾向が確認されています。
4月生まれは能力が高い傾向があるということですが、これは小学低学年なら分かりますが、大人には不可解な話です。
7歳の子どもにとって、数ヶ月の差は大きいと思いますが、大人であれば僅差だからです。
どうしてこんなことが起きるのでしょうか?
マタイ効果の研究によると、幼少の頃に限っては、年度の早生まれは能力が高いので、様々な場面で抜擢される可能性が高く、その機会ゆえに育つからだという可能性が示唆されます。
スポーツで言えば、4月生まれは体格が良いからクラスの選抜メンバーに選ばれ、その経験がその子を育てるということです。
ということは、「任せるから育つ」と考えることができるわけです。
もし「まだ実力がないから任せられない」と感じているなら、任せられることから任せていくという方法が現実的なのではないでしょうか?
下の図は、「フロー研究」の第一人者である、ミハイ・チクセントミハイが提唱する、挑戦と実力の関係を表したものです。
この概念の趣旨は、「実力に合ったチャレンジあら始めよう」いうことです。
実力がないのに、あまりにも難易度の高い課題を与えるとストレスを感じ萎縮しますし、実力があるのに、あまりにも簡単な課題しか与えないと、まったくヤル気は出ません。
「ちょっと不安だけれども、頑張ればできそう」といった難易度の課題を任せることで育つということになります。
さらに加えると、指示ゼロ経営では、課題は「チームに対し」与えます。するとチーム内での学び合い…アクティブラーニングが起き、成長が促されます。
1、挑戦意欲を掻き立てられる、魅力的な目標を持つ。
2、目標の難易度が適正であること。
3、上記をチームに対し与えること。
「任せるから育つのか?育つから任せられるのか?」という問いに対して、僕は、上手に任せると育つと考えています。
※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」をしてください。読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!