プラス思考が人と組織に与える悪影響について

「プラス思考は本当に人を幸せにするのだろうか?」という疑問を持っています。
というのも、プラス思考で頑張っている人を見ると、思考の鎧で自分を守っているように見えるからです。
実は、不安や恐れにさいなまれているのに、その感情を思考で抑え込んでしまえば、感情がマグマのように溜まっていきます。

いつ噴火するか分からない火山のようなもので、ちょっとした刺激で感情が噴出してしまう危険をはらんでいるのです。

例えが適切か分かりませんが、掃除をしていない排水溝のようなものだと思います。
悪臭が漂い、「きっと蓋を開けるとドロドロしたヘドロがビッシリとこびりついているんだろうな…」と思いつつも、怖くて蓋を開けらない状態と同じです。
恐れから蓋を何重にもかぶせて強化するのですが、強化すればするほど中を見るのが怖くなります。

リーダーがこの状態に陥ると、社員から上がるマイナス情報を受け入れることができません。
社員の話を最後まで聴けずに話を遮ったり、不安が怒りに変わり、その社員を責め立てることもあります。

社員は責められるのが嫌で、マイナス情報を伝えなくなります。すると、掃除をしない排水溝のごとく、実態を想像するだけで恐ろしくなり、さらに見ることができなくなるという悪循環に陥ります。

我が家の排水溝は僕が掃除をしていますが、最初に蓋を開けた時は非常に勇気が要りました。
恐怖でした。もしかして、髪の毛やら痰やら鼻水やらがからまった得体のしれないドロドロのヘドロの中にゲジゲジ虫のような未知の生物がいたりして…なんてイメージが湧き出てくるのです。

しかし、開けてみると想像していたよりも汚れていませんでした。勇気を振り絞り、たっぷりと泡立てたスポンジで汚れを拭き取るとピカピカになり、とても気分が良かったです。
それからは毎日、蓋を開けて掃除をするようになりました。

感情のヘドロも同じようなものだと思います。

今、仕事で関わっている企業の社長は、恐れと向き合うのが非常に上手な方です。蓋をあけるのが怖くなるまで放置をせずに、マメに不安要素を直視しますし、僕に「辛いですね」「怖いですね」「悲しいですね」といった感情を吐露します。

この社長の様子を見て、「プラス思考は本当に人を幸せにするのだろうか?」という疑問が確信に変わりました。

一般的には、優れたリーダーとは、弱さを口にせず前向きで強いイメージを持たれていますが、本当にそうなのでしょうか?

マメに心の排水溝を開けて、そこにある感情を味わい、向き合うことができる人こそ真のリーダーだと思うのです。

今日の記事を読んだ方の中には、思い切って掃除がしたくなりウズウズした方もいると思います。
ウズウズがあるうちに行動を起こすことをお勧めします。


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