採用で、社長が最終面接をしている場合の注意点
採用において、社長が最終面接をしている企業は多いと思います。
社長が採用活動に関わることはとても大切なことですが、採否に関して独断的な影響力を持つのは危険です。
なぜならば、社長のエゴのフィルターを通過した、画一的な人材だらけになる危険性があるからです。
以前に、ある仕事で関わった企業は、会議で、社員さんがほとんど発言をしませんでした。社長は「ウチの社員は消極的だから」と言っていたのですが、異様なほど発言をしないので、1人の社員さんに事情を聞いてみると、「積極性のある人は、社長面接で落とされる」と言うのです。
まさか?と思い、社長に採用基準を聞いてみると「素直な人」という答えが返ってきまた。
「素直な人」という綺麗な表現で隠していますが、なんてことはない、本音は、イエスマンに囲まれたいだけなのかもしれないと思ったのです。
本人は、頭では積極的な人材が必要と考えているのですが、潜在意識では、自分のエゴに適う人を求めている可能性があるのです。
15年来の付き合いになる、ある社長は、「ウチには優秀な社員が来ない」と悩んでいました。そこで、採用活動を改善することなり、僕も採用プログラムの作成のお手伝いをすることになりました。
改善の結果、以前よりも多くの人が集まるようになったものの、どうも社長のお眼鏡にかなう人が来ないというのです。
僕は、社長の「お眼鏡にかなう」という言葉が気になり、詳しくヒヤリングをすることにしました。
すると、なんてことはない、「自分よりも優秀な人を採用したくない」という「裏の欲求」が観えてきたのです。優秀な人を採用すると自分の立場が危うくなるという、まったく根拠のない思い込みに支配されていたのです。
しかし、先述のイエスマンが好きな社長と同様、本人にはまったく自覚がないのです。
これらの話を聞き、「自分には関係のない話だ」と思ったら、とても危険だと思います。
エゴは、本当に自覚がないままに裏であなたを動かします。
エゴの支配から脱却するためには、社長の他に、タイプの違う3人で採用チームを作ることが有効です。
その3人には、次の個性を持つ人を抜擢します。
1、ビジョナリーな能力を持つタイプ
2、現実的な実務や分析を得意とするタイプ
3、人間関係を重視するタイプ
これらは、組織が高いパフォーマンスを発揮するために欠かすことができない役者です。
僕が社長を務めた会社では、僕を含む4人全員が「一緒に働きたい」と合意した人だけを採用してきました。
喧々諤々の議論を重ねますが、その結果、1人でも「否」であれば採用しないという徹底ぶりです。
ここまでするのは、採用のミスは教育ではカバーできないからです。
優れた組織をつくりたければ、社長は採否の決定権を独占せず、多様な視点を取り入れることが大切だと考えています。
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