中小企業のキャリアプランに希望を注ぎ込むために

昔から、大企業に比べ、中小企業には「キャリアプランが描けない」という悩みが色濃く存在しています。
大企業の「巨大な山」には、たくさんの登山ルーと通過ポイント(役職)がありますが、中小企業は「丘」か「裏山」くらいの規模なので、それがない。

それでも経済が成長し、所得が増えていった時代では報われたのですが、社会が成熟し閉塞感が漂うようになると、キャリアに関する不安は一気に噴出します。
実際に、僕は、中小企業で働く多くの社員さんから、その不安を聞いてきました。「希望が持てない」という理由で離職する人も後を絶ちません。

しかし一方で、「出世がすべてではない」という声もよく聞きます。

一体、現代人は何を望んでいるのでしょうか?

結論から言うと「希望」ということになると思います。

以前は、「出世をすれば良い生活が送れる」という希望があり、キャリアアップの意欲を支えました。
実際に、経済成長の波に乗って欲求は満たされていきました。たくさん満たされる人と、それなりに満たされる人との差はありましたが、総じて満たされたのです。

しかし、今は一通りのものに満たされため、経済的な伸びしろが小さくなっています。加え、中小企業では「山」が小さく、昇格が期待できません。
「何を希望にすれば良いかが分からない」という状態に陥っている人が増えているのだと思います。

経営者も悩みます。正解がなく、ビジネス自体が不安定なので、キャリアプランを明確に描くことができません。社員から「キャリアの見通しが欲しい」と言われても困ってしまうのです。

そんな時代では、まったく新しい希望のあり方をつくる必要あると思います。そのためには、「キャリアアップ」の定義を見直す必要があります。

そもそもキャリアアップは、何が「アップ」させるのでしょうか?
成長期では出世でしたが、これからは「別のもの」がアップするようになると考えています。

すでに、新しい希望を持ち、魅力的なキャリアアップを実現している企業があります。
拙著「賃金が上がる!指示ゼロ経営」で、株式会社ザカモアさんと株式会社AKASIさんを、賃上げを実現した企業としてご紹介しましたが、社員さんへのインタビューで、「それ以外のもの」もアップされていることを痛感しました。

両社とも、変化する世の中において、顧客に喜ばれる価値をみんなで考えプロジェクト化し、役割分担を自分たちで決め、助け合いながら仕事を進め成果を上げています。
その中で「顧客からの感謝」「仕事への誇り」「人間的な成長」「仲間と協働する喜び」そして「賃上げ」を実現しています。
そして、日々それらがアップデートしているのです。(賃金に関しては、日々ではなく昇給と賞与支給時)

出世をしなくても希望を紡ぐことができます。
登山の途中で社員が脱落しない、社員を消費しない経営です。

従来の、登山ルートを上るだけのキャリアアップとはまったく異質の「希望の道」です。

「豊かさのモノサシ」を複数立てることを通じ、自社オリジナルのキャリアアップの道を考えてみてはいかがでしょうか?


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