なぜ人と組織は「最後までやり切る」ができないのか?

「成功」の反対は何でしょうか?
この問いに、多くの人が「失敗」と答えると思いますが、まったく違う考え方をする人がいます。僕もずっとそう思っていたのですが、30代の頃に尊敬する教員が教えてくれました。

成功の反対は「諦め」

精神論に聞こえるかもしれませんが、とても有効な実務論なのです。
僕が受ける相談の中でも、この事に関するものが数多くあります。
新年度に経営計画発表会を行い、活動がスタートしたは良いが、気づくと「なかったことになっている」「最後までやり切らない」というものです。
要するに、途中で、紡ぐことを諦めてしまったということですが、その現場では何が起きているのでしょうか?

最後までやり切れない原因は3つ考えられます。

1、目的が分からない。
2、粘り強い継続に耐えられる人間関係ができていない。
3、成長が実感できない。

まずは1から。
今から60年ほど前に「モーレツ社員」という言葉が流行りました。非常に仕事に熱心で、情熱が強い社員のことを指すのですが、彼らの意欲の支柱は「物質的に豊かになる」という動機でした。
現代人に「あなたが働く動機は?」と聞くと何と答えるでしょうか?多くの人が明確に答えられません。
つまり、目的を喪失している人が多いのです。

ドストエフスキーは、自身の収監体験をもとに書いた『死の家の記憶』において、「バケツの水を他のバケツに移し、終わったらまた元のバケツに戻す」といった目的のわからない労働が「最も過酷な強制労働と述べています。中には発狂する人もいたとか。

次に2の「粘り強い継続に耐えられる人間関係ができていない」に関して。
成功するまでやり続けると、途中で様々な困難に直面します。その時に必要なことは、「根本的な問題に着目すること」「言うべき意見をちゃんと表明すること」「仲間の意見に耳を傾けること」といった深い対話です。
単に「仲が良い」ということを超えた、しなやかで強い関係性がないと、前に進むことができなくなります。

最後に3の「成長が実感できない」について。
人にとって「できるようになった」という喜びは、仕事への情熱をかき立てます。しかも、その喜びを仲間と分かち合うことができたら、喜びもひとしおです。
今、僕が顧問契約で入っている企業では、それを仕組み化しようとしています。これまでは同社の常務取締役が、部下の成長を発見、褒めるという役割を一手に引き受けてきたのですが、その機能を集団に埋め込もうとしているのです。

具体的には、ペアを組み、定期的に互いの成長を観察するというものです。

1、目的を持つ。
2、深い対話ができる人間関係をつくる。
3、成長を実感できる仕組みをつくる。

以前に、「雨乞いの成功率100%の部族」の話を聞いたことがあります。実在するかは不明ですが、成功の秘訣はなんてことはない、「雨が降るまで踊り続ける」ということのようです。
これを笑い話で流してはもったいないと思います。
成功の反対は、紡ぐことの諦めだと思います。


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