価値観の多様性と、理念や価値観の統合をどう両立すべきか?
恩着せがましいリーダーシップを「温情型リーダーシップ」と言います。自分が考える幸せや価値観を他人に押し付けるタイプです。
例えるならば、テレビドラマなどで、妻や恋人から三下り半を下される独りよがりな男のようなもの。
男:「お金に困ることのない生活を送れている。マイホームだってある。年に1度は旅行に連れて行っている」
妻:「感謝しているのよ。でも、そういうことじゃないの…」
と突き放されるケースですね。
以前に、自社の福利厚生を自慢している社長に出会いました。社員は社有の高級外車を借り、会員制のリゾートホテルに家族旅行ができる制度があるそうです。
しかし、社員さんに「会社の良いところは?」と質問すると、その制度のことを言う人は1人もいませんでした。
偉そうなことを書いていますが、僕も新聞店を経営している頃、自分の価値観を押し付けることが多々ありました。それに疑問を持つようになったのは、社員と対話をするようになってからです
社員に「いい会社とはどんな会社ですか?」という問いを投げると、非常に幸せの形は多様だということが分かったのです。
それらは、大きく分けて次の5つの要件に分類されます。
1、仲間と協働できたりといった働き方ができる。
2、創造的な仕事をし、顧客や地域社会に貢献する。
3、顧客や社内の仲間から感謝される。
4、業績が良い。
5、賃金や福利厚生などが良い。
この5つの要件は、単体で存在するのではなく、1が満たされると2が、2が満たされると3が実現し、4→5→1→2…と循環しながら成長していきます。
関係性の質が良くなると→創造性が発揮され良い仕事をして→顧客に喜ばれ→業績が良くなり→待遇が良くなり→関係が良くなるということです。
人によって「いい会社」の捉え方に違いがあります。人間関係を重視する人は1に関する要件が多いですし、感謝を心の栄養にしている人は3が、結果を重視する人は4と5が多いというように偏りがあるのです。
豊かさの定義は様々で、だからこそ多様なメンバーが必要ということになります。
リーダーによる独りよがりな幸せの押し付けは、組織から多様性を奪い、脆弱な組織になる危険性があります。
一方で、組織には、精神的な支柱である経営理念が必要で、そこに多様性は認められません。
どう折り合いをつければ良いのでしょうか?
折り合いをつける必要はないのではないでしょうか。
なぜなら、経営理念は各社、文言は違いますが、総合すると「上記の5つの実現」を謳っているからです。
次に社員さんと面談する機会があれば、「仕事をしていて、どんな時に幸せを感じますか?」と聞いてみてはいかがでしょうか。
社員さんの返答は「いい会社」のレシピで、総合するといい会社のつくり方が観えてくると思います。
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