面と向かうと優秀な部下が集団に入るとダメになってしまうワケ

1対1で面談すると真面目で前向きな人が、集団に戻るとなぜか人が変わってしまうという経験はないでしょうか?
人は、自分の意思で行動しているように思えますが、実はそうではなく、仲間との関係性や、その場の「空気」といった文脈の影響を受け、振る舞いを変えるのです。

分かりやすい事例としてはイジメがその典型です。1人1人はイジメが良くないことを知っていますし、イジメがあるクラスなんて誰も望みません。それなのに、集団に潜む「空気」に影響され、ついやってしまうのです。

つまり、個々の行動を正しても良い組織になるわけではないということです。にも関わらず、個々の部下の教育ばかりで、集団に対する働きかけをしているリーダーは少ないのが現実です。

イジメの事例を引いて、集団への働きかけを考えてみます。イジメは、最初の段階では、1人か2人ほどの少人数によって行われ、やがて他の子どもに伝播していきます。
初期段階で手を打つのがベストですか、イジメは影で行われるため、ほとんどが顕在化してから手を打つことになります。

その場合、ベテラン教員は、イジメをやっている人を止めるのではなく「イジメを止める人を増やす」というアプローチを取ります。
集団内に「イジメを止める」というムーブメントが起きるように働きかけるのです。

まずは教員から、「イジメを起こさないし、もしイジメが起きてもを周りの人が止めるクラスにする」と宣言します。
しかし、イジメを止めたら自分がイジメられる側になる可能性があるので、止めるのは非常に勇気を要しますね。そこで、「イジメを止める勇気ある人を、私は絶対に守る」と約束するのです。

最初は正義感が強い子どもたちから行動が始まり、やがて全体に伝播していきます。
教員が「言い出しっぺ」となり、まずはたった1人の賛同者(Aさん)がつきます。次に続くBさんはAさんに影響されます。CさんはBさんに誘われると動き、DさんとEさんはCさんが動けば芋づる式に動きます。
その増え方は、まさにパンデミックと同じです。止める人の割合が「ある臨界点」を超えると、イジメをしている人の方が分が悪くなるので、一気に消滅するのです。
一度拡がった伝染が簡単に消えないことは、この4年間で嫌と言うほど体験しましたね。

話をビジネスに戻すと、手の打ち方が観えてくるのではないでしょうか?
「教員をリーダーに」「イジメを止めるという行動を、リーダーがチーム内に広げたい行動に」置き換えてみると観えてくると思います。

コツを2つお伝えすると、1つは今日の記事をメンバーと共有することです。
指示ゼロ経営では「手の内を明かす」と表現しますが、リーダーが企んでいる構想をみんなで共有すると、メンバーが、全体の流れと自分が取るべき役割がイメージできるのです。だいたい1割〜2割ほど、リーダーに共感しているメンバーはいるもので、彼らが理解すればムーブメントは起こりやすくなります。
もう1つは、組織内に文化が根付くまでは、リーダーは現場から離れてはいけないということです。

人は集団に身を置くと、本当に不思議な振る舞いをするものです。

リーダーにとって、集団ダイナミクスは必須のリテラシーだと思います。


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