営業職の「働き方」と「報酬」の未来を考える

営業職の働き方と報酬のあり方に悩む経営者が多いようです。
悩みの趣旨は主に、次のようなものが上位に来ます。

・一匹狼的な働き方が限界に来ている。
・インセンティブ(成果報酬)が機能しなくなっている。

営業の世界は「成果を上げてなんぼ」ですし、成果が数値で評価できるため、これまでずっと、賃金は成果連動型が主流でした。例えば、新聞店では、1年間の新聞購読契約に対し、多い場合1万円の報酬が支払われることがあります。
新聞市場が成長期の時は、営業パーソンの管理は非常に楽でした。ニンジンをぶら下げて、ビール券や洗剤、野球の観戦チケットという武器を渡し、「難しいことは考えなくて良い。1軒でも多く訪問しろ」と発破をかけるだけで良かったのですから。

チームワークも必要なく、一匹狼として、自分が受け持つエリアを攻略するというスタイルが主流でした。

時代が成熟期に入った途端に、このような働き方と報酬制度が通用しなくなりました。営業パーソンは、これまでのように「頑張れは報われる」ということがなくなれば、ヤル気を失ってしまいます。

成熟期では、これまでの「行動量」を増やすマネジメントから「知恵の創出」が活性化するマネジメントへの転換が求められます。
具体的は2つの改善が必要です。

1、みんなの知恵と協働で仕事を進める、そのためには目標は「チーム単位」で持つ。
2、インセンティブではなく、売上総利益に紐づく賃金体系を導入する。

僕が経営してきた新聞店の事例を引きますね。
新聞店は通常、「米澤さんは○○地域が担当」という風に、担当エリアを決め、一匹狼として頑張ってもらうスタイルが主流でした。ご多分に漏れず、この方法が限界に来たのですが、多くの新聞店は、ここから離れることができていません。

当社では、担当エリア制を廃止し、1つのチームをつくりました。みんなで営業シナリオを考え「電話のアポ取り係」「訪問する人」「データベース担当」など、役割分担を決めシナリオを遂行します。

組織形態が変われば報酬体系も変わります。
インセンティブの代わりに「売上総利益に紐づけされた賃金体系」を導入しました。業績からチーム全体の報酬が決まり、それを各メンバーに分配するのです。
この記事を参考にして下さい。賃上げ問題を扱った記事ですが、賃金体系の基本が分かりますので。

今日の記事で紹介した手法が応用できない業界や企業もあると思います。しかし、「知恵の創出」が最も大きな課題であるということに関しては同じなのではないでしょうか。

自社の現状にあった形で参考にしていただければ幸いです。


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