ダメ社員がスーパー社員に育つ「上手な仕事の任せ方」
仕事を任せる時は、「仕事の難易度」と「メンバーの実力」を勘案すると、上手な任せ方ができます。
メンバーの実力が低いのに難しい課題を与えるとストレスになり力を発揮できませんし、実力があるのに、あまりに簡単なことしか任せないと退屈してしまいます。
理想的な任せ方は、「ちょっと不安だけれども、頑張ればできそうな気がする」というポイントから始め、やがて実力をつけながら難易度をあげていくのです。下の図解の「A地点」から「B地点」に移行する方法です。
それぞれのポイントでリーダーのメンバーへの関わり方が変わります。
その前に、指示ゼロ経営のメンバーへの関わり方を確認します。
指示ゼロ経営では、個々のメンバーと関わるよりも、「集団」に関わります。チーム単位で課題や目標を持ち協働で解決にあたります。
その上で、まずはA地点から考えていきましょう。
A地点は、挑戦課題に対し実力が足りず少し不安な状態だが「ちょっと頑張ればできそうな気がする」というポイントです。
このポイントでは、リーダーは「集団に入り、一緒に考える」という関わりをします。とても簡単に思えるかもしれませんが、やってみると「一緒に考える」ということが、いかに難しいことかに気づくでしょう。リーダーが正解を出してしまうとメンバーの自立を妨げてしまいますが、かといって、実力が伴っていないので何もしなければアイデアすら出せません。
そんな際に役立つのが「具体→抽象→具体」の思考法です。
やり方は次の3ステップです。
1、他社の成功事例を観る。
2、そこから成功法則を抽出する。
3、成功法則をもとに、自社の実行アイデアを考える。
「お客様を怒らせないクレーム応対」で考えてみます。
ある家電販売「H社」では、顧客の勘違いによるクレームが多く苦慮していました。具体的には、電源が入っていないのに「動かない」というクレームです。その際に、これまでは「電源は入っていますか?」と聞いていたのですが、お客様の中には「馬鹿にするな」と怒り出す方が多かった。
これを問題視したマネージャーは、対応が上手な「E社」から学ぶことにしました。E社ではクレームの電話に対し、真っ先に「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と伝えます。その後、「一度、電源を切って、もう一度入れ直してください」と伝えます。この時点で、電源が入っていなかった場合、「すみません。もう大丈夫です」と言い電話を切ります。
上手ですよね?
H社では、この事例の成功法則を抽出しました。その結果、「お客様の感情を理解する」「お客様を敗者にしない」という要件が浮き彫りになりました。
お客様には、「課題を解決したい」という思いだけでなく「苛立ちを分かってほしい」という気持ちがあります。なので、E社では、真っ先に「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と伝えていると考えたのです。
「電源入っていますか?」と聞けば、入っていなかった場合、お客様に恥をかかせてしまいます。(敗者にしてしまう)そこで、一度電源を切るという伝え方をしていると考えました。
E社の意図と合っているかは問題ではありません。自分たちなりに考えることが大切なのです。
法則化を行わなければ、単なる真似しかできませんが、行うことで、ケースバイケースで自分たちにできることを考えることができます。
思考力が身につけば、より難しい課題…「夢中」の領域に挑戦することができるようになります。
夢中の領域に突入すれば、リーダー、マネージャーは集団に入らなくても大丈夫になり、思う存分、自分のために時間を使うことができるということです。
6月26日(水)に、「指示ゼロ経営説明会」を開催します。
指示ゼロ経営の基礎中の基礎を学ぶことができます。
今回の特別テーマは「正しい賃上げの実務」です。無策な賃上げは危険です。賃上げムードを企業力向上の追い風にする基礎知見を学びます。
画面オフで「聞くだけ参加」も大歓迎です。