「人材は経営資源ではない」と言い切る社長から学ぶ人材育成の要諦

僕は、かれこれ9年ほど、ある団体から「中堅社員研修」を依頼され講師を勤めています。
色んな企業の中堅社員さんが参加するのですが、ほぼ100%の方が「上司から行けと言われて」受動的に参加しており、講師としてはとても難しい研修になります。

そこで、受講者の当事者意識を高めるために、研修前に上司から部下に「期待と応援のメッセージ」を書いてもらう工夫をしました。
これが結果的に、モチベーションに関する研究開発になったのです。
メッセージをもらった受講者と、もらわなかった受講者とで、積極性、主体性に明らかな違いが確認できたのです。

メッセージの内容によっても違いが出ることが分かりました。
それは目的…「なぜ研修で学んで欲しいか?」をどう設定しているかの違いです。

メッセージには大きく分けて「要求」と「思いやり」の2つがあります。
要求とは、「チームをリードできるようになって欲しい」「業績を上げて欲しい」と言った、会社都合のメッセージです。
思いやりは、「あなたの才能が開花するように」「もっとお客様から喜ばれる存在になるために」といった、部下の幸せを願うメッセージです。

この2つ、両方が必要だと考えます。
ミックスすると、例えば「チームをリードする方法を学び、あなたが持つ才能をいかんなく発揮して欲しい」といったメッセージになりますが、この伝え方は「才能の発揮が目的」で「方法を学ぶこと」が手段という構図になっています。

僕は、この体験から、人材育成の成否は「目的」で決まるということに気づいたのです。

数年前、受講者の中に「万が一、当社が倒産したとしても、引く手あまたな人になって欲しい」というメッセージを社長からもらった人がいました。
社長が僕の知り合いだったので詳しく聞いたところ、「社員はリソース(資源)ではない」と言うのです。
人・モノ・金・情報は4大経営資源と言われていますが、この社長は、人材を資源だと思っていないのです。
むしろ、会社を資源だと思っているのです。
どういうことかというと、「会社とは、乗る人みんなが幸せになれる船みたいなもの」と捉えているのです。
船に乗る人には、自分や社員だけでなく顧客や取引先も含まれます。

このことを真剣に考えており、「だから米澤さんの研修に参加させたのです」と言いました。
僕の研修に派遣した理由は、中堅社員研修は、ある特定の会社や業界に限定したスキルではなく、チームワークや人間関係構築力、仲間を巻き込む力といった、「業界を横断する汎用性の高いスキル」を学びます。

ここで、社長の「万が一、当社が倒産したとしても、引く手あまたな人になって欲しい」という言葉の真意が理解できたのです。

人材育成は、尽きるところ「目的」で決まります。
極論すれば、誰1人、会社のために働いている人などいないということです。

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