賞味期限を過ぎたビジネスを蘇らせる方法

今、社会には「賞味期限を過ぎたビジネス」が数多くあります。
僕は、23年間新聞販売店を経営してきて、賞味期限切れのビジネスを営む難しさを痛感してきました。よく、賞味期限を過ぎたビジネスを「下りのエスカレーターを上るようなもの」と例えますが、頑張って上っても現状維持がやっとで、やがてジリ貧になります。

ビジネスモデルを変える必要があったのですが、そこで大きな過ちを犯しました。
「新聞がダメだから別のものを売ろう」と考え、新規事業として野沢菜漬けなどの通販事業を立ち上げました。しかし、新聞店のリソースが活きない商いの立ち上げには、別の会社を起業するのと同じ労力が要ります。
漬物屋さんが通販するのとはわけが違うのです。

結局、どちらも中途半端になり、新規事業は破綻しました。

僕の思考の過ちは、「新聞がダメだから違うものに」という「モノ」発想にあります。
よく、顧客はモノではなく「コト」を買っていると言われますよね。例えば、布団ではなく「熟睡」というコトを買っているということです。

「コト」に注目すれば、顧客が実現したい「コト」を強化する「モノ」は他にもたくさんあります。
布団屋さんなら、安眠枕や間接照明、アロマなどを扱うことができます。顧客を中心に捉え、顧客の成功を支援するという発想すれば、ビジネスの可能性が無限に広がります。

さて、話はここからが本題です。
布団屋さんが枕やアロマを扱うのは、おそらく誰でも発想できることだと思います。枕やアロマが、布団というアイテムと属性的に同じだからです。
これでは独自化・差別化は難しい。

もっと「異質なもの」を取り入れると面白いビジネスが生まれる可能性があります。例えば、ある方は「スポーツジムを併設する」というアイデアを出しました。
最初は意味が分からなかったのですが、要するに「疲れさせる」ということなのです。このくらいの飛躍があってもよいのではないでしょうか。
もしかすると「安眠の家」なんて発想が出るかもしれませんね。

独創性は、異質なものを組み合わせ、そこに道理が生まれた時に立ち上がります。

僕は、そのトレーニングとして、タウンページを活用しました。タウンページの目次を開くと、業種のカテゴリーがあります。
社員と一緒に、それを1つ1つ見ながら「もし、ウチがこの業種を取り入れたら、”ウチらしさの軸を保ったまま”顧客に新しい価値を提供できないだろうか?」と飛躍した発想をしてみるのです。

想像するだけなら只です。ダメもとでやってみると有意義な発見があると思います。

当社は、タウンページの「行政」に目を付けました。「ウチが行政だったら、地域課題を地域の人たちが自律的に解決する、指示ゼロ経営的な行政を行う」と発想しました。
当社の独自資源は「指示ゼロ経営のノウハウ」です。さらに、新聞店は折込チラシ入れ放題という利点があり、その気になればメディアになれるのです。当社では20年に渡り「手づくり新聞」を発行してきており、地域活動の様子を地域に伝えることができます。

新聞店のリソースに指示ゼロ経営のノウハウが結びつき、独自の事業が生まれたのです。
新しいリソースを自社で調達できない場合は、他企業とコラボするのも良いと思います。

私たちは、発想次第で、今やっている事業を別物に進化させることができます。
その要諦は「コト」にフォーカスする視点です。

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6月26日(水)に、「指示ゼロ経営説明会」を開催します。
指示ゼロ経営の基礎中の基礎を学ぶことができます。
今回の特別テーマは「正しい賃上げの実務」です。無策な賃上げは危険です。賃上げムードを企業力向上の追い風にする基礎知見を学びます。