柔軟に変わることができるのは「変わらないもの」があるから
私たちの日常を大きく変えた企業の1つにAmazonがあります。創業当時は、なかなか黒字化できずに「書籍の通販なんて成り立たない」と批判されましたが、気づくと、あらゆるものを売るようになり、世界の生活者の購買習慣を変えてしまいました。
Amazonは「お客様を起点にする」を理念に掲げ、「そのためにできることを、とことんやる」非常に機動力の高い経営を行っています。
僕は、何度もブログで「正解のない時代では、とにかくやってみることが大切」と説いてきました。やってみると分かることがあり、そこから道が拓けると考えるからです。
Amazonは創業以来、70以上の新規事業を立ち上げましたが、その3分の1ほどが途中で撤退しています。スマートフォン事業に至っては、CEOのジェフ・ベゾス氏の「肝いり事業」だったにも関わらず、軌道に乗せられないと判断するや、たった1年で撤退しています。
まあ、ドライと言えばドライですが、この機動性を支えるものは「お客間を起点にする」という「変わらないもの」があるからだと考えることができます。
変わらないものはあるから変わることができるということです。
まさに日本人がそのモデルだと言います。
文明開化の鐘が鳴った瞬間に、ちょんまげを切り刀を置きスーツに着替えたように、日本人は、多様な文化を受け入れる寛容さを持っています。
このことに対し、京都大学の元教授である中西輝政氏は、「それは変わらないから変われる」と説明しました。
なるほど。2600年間以上に渡り培ってきた軸(アイデンティティ)があるからこそ変われるということなんですね。
確かに、軸がなければ、全く別のものなってしまうので、怖くて変わることはできないかもしれません。
変わらないものを「コア」と表現したのは、500年企業「とらや」の黒川光博会長です。
BUSINESS INSIDERの取材にこのように答えています。
コアがきちんとあれば、新しいことやこれまでとは少し違うことをやったとしても、お客様には受け入れていただける。それを皆さんは「革新」とか「新しいこと」と言ってくださいます。けれども、そのように言っていただくためには、会社が大切にするコアの部分をどれだけきちんと貫けるかが勝負だと思います。
そして、「コアとは何か?」との質問には次のように答えています。
『本当に美味しいものを誠実につくること。一生懸命に和菓子を極めることです』
あまりにもシンプル過ぎて聞き流してしまいそうですが、これが文化として根付いているということだと思います。
「コア」を500年以上も持ち続けることは大変なことです。
500年の歴史の中で、18人が社長に就任していますし、社員さんの入れ替えは100回転以上はしているのですから。
私たちの身体の細胞が、3ヶ月ですべて入れ替わっても、3ヶ月毎に別の人間になるわけではないように、そこに「その会社を、その会社たらしめている何か」があるからこそできる芸当だと思います。
御社を御社たらしているものは何でしょうか?
それが変化の時代を切り拓く礎になると思います。
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