「給料は誰からもらっているか?」にどう答えるかで組織の民度が観える

「給料は誰からもらっているか?」…この問いに社員さんは何と答えるでしょうか?
「会社(社長)からもらっている」と答えるケースと、「お客様から」と答えるケースがあると思います。両者の違いは、イコール「経営のあり方の違い」ということになります。

前者は、トップダウン企業に多く、社員は仕事の依頼主を社長として捉えています。依頼主に言われた通りに仕事をこなし、依頼主から給料を受け取っているということです。

後者は、自由意志で仕事ができる企業に多く、社員は仕事の依頼主を顧客と捉えています。そして、自由意志は創造性を育みますので、顧客の言いなりになるのではなく、顧客を魅了する価値を生み出す傾向があります。

この違いは、給料(以下、賃金)の質を変えます。
前者、つまり「会社からもらっている」ケースでは、賃金は「お駄賃」の性質を持ちます。言われた通りにやってくれたことに対するご褒美という意味です。

対し、後者…「お客様からもらっている」ケース、しかも自分の努力で顧客に喜ばれ手にする報酬は「おひねり」の性質を持ちます。芸人が自分の創意工夫により受け取る、喜びや驚きの気持ちが乗ったお金と同じです。

昨年の7月に上梓した書籍「賃金が上がる!指示ゼロ経営」で主張したことは、「賃金を”おひねり化”しよう」ということです。

賃金のおひねり化のためには、賃金制度をクリアにする必要があります。社員は、顧客から直接おひねりをもらっているわけではなく、会社を通して支給されます。当然、会社の資産を使っているので、100%自分がもらえるわけではありません。

しかし、支給の根拠がデタラメで「社長の胸三寸」では、賃金は「社長からもらうお駄賃」に成り下がってしまいます。

そこで、業績に紐づけされた賃金制度が必要になります。
クリアな制度があると、賃上げをする時に、「これだけ賃上げをするには、これだけの業績が必要」と業績目標が自動算出されます。
つまり、昨今の賃上げムードを企業の稼ぐ力につなげることができるのです。

逆に、紐づけがなされていないと、賃金だけが上がっていき経営が苦しくなります。事実、2023年には、業績が伴わない賃上げにより倒産した企業が、昨年対比8倍と激増しています。

制度の運用には注意が必要です。「制度としてそこにある」という程度の存在感が最適で、決して「もっと給料を欲しければ頑張れ」と発破をかけてはいけません。
数々の心理学の実証実験により、アメとムチで相手を釣ると、「自発性と創造性が破壊される」ということが明らかになっています。目先の利益に目がくらみ視野が狭くなり、思考が短絡化するからです。
この件に関してはこちらの記事を参考にしてね。

益々、目まぐるしく変化し、創造性が求められる時代になります。
組織のあり方とともに、賃金の仕組みも見直す時期に差し掛かっていると考えます。


※さて、今日の記事に関心がある方は、「指示ゼロ経営説明会」をチェックして下さい。
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今回の特別テーマは「正しい賃上げの実務」です。無策な賃上げは危険です。賃上げムードを企業力向上の追い風にする基礎知見を学びます。