人手不足の解決は「出」…離職を減らすことから全てが始まる

出血をしている時は、輸血よりも「止血」が優先なのと同じように、経営においても「出を減らす」ことが優先策となることがあります。
例えば、顧客数が減っている時は、新規客獲得よりも、既存客の流出を防ぐことが優先というのがマーケティングのセオリーです。

足りない時には「入」を増やす前に「出」を減らすことが大切ということですが、これは人手不足の対策にも言えることです。

今、中小企業の人手不足が深刻ですが、そこには例外なく「入」よりも多くの「出」が発生しています。
後述しますが、「出」を減らすことが、そのまま「入」を増やすことに直結します。

まずは「出」の原因を分析したいと思います。
厚労省のHPに、働く人の退職理由を調査した資料が掲載されています。
それによると…

・「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が 27.2%で最も多い。
・次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」が 26.7%。
・「賃金が低かったから」が 24.9%。

男女別にみると…
・男性は「会社の将来に不安を感じたから」が 31.0%
・女性は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が 27.0%。

が最も多いという結果が出ています。

意外にも、賃金に関する不満で退職は上位に来ないんですね。

賃金以外の労働条件とは、勤務時間、残業、休日、福利厚生、人間関係などが該当しますが、人間関係以外の要件は、入社前に確認できることです。「条件が約束と違った」というのはレアケースだと思いますので「人間関係が原因での退職」が多いということがうかがえます。
日経メディカルが2020年に行った調査でも、退職理由の第一位に「人間関係」が、第二位に「会社の将来に不安を感じたから」がランクインしています。

「人間関係」と「会社の将来」「満足のいく仕事内容」の3点に絞り改善することで「出」は減らせますが、同時に、世間には、これらが原因で退職する人が多いわけですから、「入」を増やすことにも繋がるわけです。

ところが、こう言うと「改善には時間がかかり待っていられない」という人がいますが、今は改善されていなくても、良くする意志があり行動している企業、つまり希望がある企業には人は集まります。
実際に、僕が関わった中でも何社もあります。

そういう企業は、社長が1人で改善を考えるのではなく、社員さんが参画して取り組んでいます。
社員さんには、改善活動に自発的に参画するモチベーションがあります。なぜならば、離職率が高いのは社員さんも困ることですし、働きやすい職場はみんなが望むことだからです。

望みが一致している時は組織はまとまります。必然的に、人間関係が良くなりますし、働きやすい職場づくりに参画できることで、やり甲斐も高まります。
「ここで働き続けたい」という思いも強まるでしょう。

この自分たちの思いと活動を面接時などで伝え「一緒にやろう」と誘うのです。

これが「出」を減らすことが「入」に直結するということです。

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